雪&氷2015年アイスクライミング本ちゃん雪山雪稜

鹿島槍ヶ岳北壁 2015.3.21-22

2015年3月21日(土)~22日(日)

鹿島槍ヶ岳北壁

メンバー 坂口弘記、その他1名(会員外) 記録 坂口弘記

タイム 3月21日(土) 大谷原7:30-天狗の鼻16:30 3月22日(日) 天狗の鼻3:30-北壁下部岩壁取り付き6:00-鹿島槍ヶ岳稜線登攀終了12:00-鹿島槍ヶ岳北峰13:30-天狗の鼻15:30-大谷原19:40

 今シーズンよくご一緒させて頂いているK浦さんから鹿島槍ヶ岳北壁蝶型岩壁氷のリボンの話を聞いたのは今年の1月だったろうか。
今まで鹿島槍ヶ岳北壁登ると考えると、いつも頭の中のイメージは主稜からであった。
その時から氷のリボンはなんとなく自分の頭に中に居座り続け、他の氷のラインを登るたびに少しずつ現実味を帯びたものにかわっていった。
 今回直前で体調を崩したK浦さんと登れなかったのは残念であったが、最近とても勢いを感じる自分より10歳年下のK池くんをパートナーに迎えることが出来た。

土曜日4時30分に松本で合流。大谷原を7時30分頃出発。
駐車場周辺のしっかり締まった朝の雪は、天狗の鼻への早めの到着を予感させた。
実際の雪は春山特有のぐさぐさの雪で沈んだり、沈まなかったりで、沈む時は股下まで沈む極悪な状態であった。
10時間を費やし、予想外の体力を消耗してしまった。
近頃大きい山をやっていないためか、目の前に現れた北壁の大きさに圧倒された。

夜は風が強く、テントは稜線の風に煽られ、大きな音をたてていた。その音のせいか、翌日の登攀の緊張のせいか、その日はあまり熟睡できなかった。

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翌日は2時に起床。
パートナーのK池くんから聞いた話だが、いつもは必要いじょうに喋る自分が、めずらしく口数が少なかったらしい。
3時にBCを出発。出発するとすぐに最低コルにさしかかり、北壁の基部へのトラバースにはいる。
朝の雪状態を心配していたが、雪は思ったより歩きやすく、硬くしまっていた。ただ、周辺はデブリだらけ。
日曜日は晴天の予報。あまり長くいる場所ではない。

出発から1時間30分くらい経った頃氷のリボンかと思われる取付きに到着する。
あまりに写真と異なる氷に違和感を覚える。壁に薄く張り付いた雪交じりの氷。
本当にここでよいのか。念のためさらに先の様子を確認するため、トラバースを続けると主稜の末端かと思われる場所に到着。
やはりさっき見た氷で間違いないだろうと話し合い、先ほどみた氷まで引き返す(下山後攀ルートを調べたが未だにはっきりしない)。

1時間程時間をロスしたかもしれない。その時洞窟尾根の方から突然大きな雪崩が発生する。
気温の上昇は感じられない。雪崩れきっていない雪がたまたま滞留していたのだろうか。
一瞬引き返そうかとの思いがよぎるが、ここは我慢。
とにかく取付いて、はやく稜線に抜けようと気持ちを切り替える。

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1P目坂口リード。上部の傾斜が緩い右側のラインを選ぶ。薄くはった氷を丁寧に登る。
難しさは感じない。ただ異常に足の疲れを感じる。
もし氷柱の登攀であったのなら、相当苦戦しただろう。
ほぼ60mいっぱい登り、灌木でピッチをきる。今思うと、下部10mは雪に埋まっていたのかもしれない。 2P目K池くんリード。氷もしっかり張っていて快適。
60mいっぱいのばし灌木でピッチを切る。氷はここで終了。
その後、雪壁70mほどコンテで登り、脆い岩をK池くんが1Pリードで登ると広い雪面にでる。
主稜のラインが正面に見える。登ってきたのは蝶型右稜の末端あたりか。
蝶型右稜を左に見ながら、空に向かってのびる雪壁を稜線にむけてつめていく。
雪崩れなくてよかった。稜線に抜けてギアをデポして、北峰までゆっくり歩く。
北峰に到着。遠くに剣岳が見える。とても気持ちがよかった。

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北峰から天狗の鼻までは懸垂を2回交えて、順当に下る。
問題はこの後だった。行より悪いぐさぐさの不安定な雪。
大谷原に到着したのは19時40分。
しばらく山は登りたくないとおもったが、記録を書きながら今度はどこに登ろうかと考えているから不思議だ。 以上