2012年度冬季合宿北鎌尾根報告

メンバー CL中川 SL田中 田畑 福井

12月29日 晴れ

コースタイム 名古屋駅7:00 松本駅9:00 大町10:10 葛温泉11:00 七倉温泉12:00

高瀬ダム13:30 名無し小屋16:00 テン場17:00 消灯20:00

早朝名古屋駅を出発、大町よりタクシーで葛温泉車止め鎖ゲートに向かう。既に足首までの積雪があり、先が思いやられそうである。せめて七倉温泉までタクシーであればどんなに助かるか。

初日は天気が良いのもあり足取りは軽い。だが高瀬ダム上部が見えてからの道のりが、雪のせいか長く感じられる。
ダムで一本立て、2パーティー先行があるのでトレースを追いかけ湯俣へと先を急ぐ。名無し小屋から暖炉の煙が見えるが、我々は立ち寄らず少し先でワカンを装着する。すぐに先行三人組パーティーに追いつき、彼等を追い抜くと四人だけのラッセルが始まった。
この雪で今日中に湯俣まで辿り着けるのだろうか…

ふと不安がよぎりかけた時、中川リーダーから「ここでテント張ろう」との指示。内心ほっとする。翌日分かるのだが、このテン場はまだ湯俣まで二時間手前であった。夜半、外は無風で暖かく、快適な空間はこの日が最初で最後となった。(記 福井)

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12月30日 みぞれ

コースタイム 起床4:00 出発6:00 湯俣8:00 テン場15:00

雨ともみぞれとも言えぬ天候の中、慌ただしく支度をし、トレースのない道を湯俣へと向かう。半時も経たないうちに後続パーティーが追い上げてきた。三組のパーティーでラッセルしながら、ようやく湯俣に到着する。
我々のパーティーは吊り橋を渡った所でアイゼンを装着、すぐに左岸の雪深い高巻きを進む。他の2パーティーは渡渉して行くようだ。
二人組の方は靴のまま湯俣川の中を進んで行く。実にワイルドだ。高巻きから湯俣川に降り河原を行く途中前方、先程のワイルドな二人組がツェルトを被り大岩の下で休んでいるのが見えた。同じく河原を行くもう一方の三人組のパーティーから突然の叫び声。「ラクー!!」である。その声に驚きツェルトから一人が飛び出し、辺りをキョロキョロした途端、やや10メートル前方の沢から雪崩が起きた。恐る恐る側を通過すると、傍らにもっと大きなデブリ跡を発見…冷や汗ものだ。

さらに岩場をへつると、1メートル程の高さから私は川の中に落ちてしまい、焦りに体力を欠く散々な一日となる。おそらく中東沢出合手前で、他のパーティーはテン泊後に引き返したと思われる。我々もこの付近の高巻きで、雪で土留めを作り二泊目をする。まだまだ先は長い…ガンバろう。(記 福井)

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12月31日

タイム 7:20出発~12:30千天沢出合~15:00千天沢出合~P2取り付きの間(幕)

5時に起床して朝から雪が降るなか7時過ぎに出発して空荷でラッセルして進む。ほかにいた2パーティーが、追いついてこないので撤退していったみたいだ。交代しながら進むが、雪が多くなかなか前に進まない。
途中高巻くとフィックスの張ってある所にでる、10月に偵察に来た時にロープの切れかけた所があったとこだったのでロープを出して進み河原沿いを歩くとまたフィックスの張ってあるへつりの所にでる。ここもロープをだし河原沿いをラッセルして進む。
田畑さん一人で千天沢出合までラッセルしてくれたので、楽に進めた。出合でビニール袋を履いて渡渉するとまた靴の中が少し濡れた。急な傾斜を登りすこし進んだ所で、テントの張れそうな所があり15時頃幕営する。ラジオを聴こうとするが電波が悪いみたいであまり聞こえない。夕食にそばを食べ就寝する。(記 田中)

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1月1日 千天出合付近のテント場 朝 6:00起床 7:00出発 13:00撤退 16:00テント場着

この日で最後の渡渉を終えて、いよいよP2を目指し本格的な登りに入る。ロープを出して登りました。途中でリードをやらせていただきました。スリル満点。ザックは重くなかなか苦労しました。
P2手前付近にて中川さんからワカン装着の指示!?ワカンを装着中に撤退命令!!何!!(怒)と思いましたが、残りの日程を考えると仕方ないと思い、泣く泣く下山開始。一か所、懸垂下降をし、前日のテント場までもどり、同じ場所で幕営をしました。
その日の晩御飯はカレーライスでした。この日の晩御飯でまともな食事は終了!!残りは棒ラーメンのみ!!撤退はベストな判断だと思いました。
来季、リベンジしたいと思います。(記 田畑)

1月2日 雪 タイム 幕営地6:00~千天出合渡渉天7:30~湯俣11:45~高瀬ダム15:00~ 七倉16:30~葛温泉17:30

風も無く静かな夜だったが、30cmほどの降雪がある。雪は降り続いておりトレースが少しでも残っているうちに出来るだけ安全圏まで下山したいと思い、ヘッドランプをつけて早朝出発した。
1時間ほどで渡渉点に到着。行きと同じくビニール袋を履いて渡る。水俣川左岸の道には行きのトレースが部分的に残っていて、早い時間で進む事が出来た。途中の高巻きでは福井さんが危うく転落しかけたものの木に掴まり事無きを得た。
昼前には湯俣に到着し、少しほっとする。今日は吹雪で標高の低いこの辺りでも結構風がつよい。時折ゴーという風の音がする。きっと稜線上は大荒れなのだろう、引き返したのは正解だと思った。湯俣からは平坦な道だが、トレースが消えかえって大変だった。
田畑君のパワーにずいぶん助けてもらった。林道に出ると除雪車が入ったようで少し楽になる。ここまで来たらもう温泉しかないと思い、肩に食い込むザックの痛みに耐えながら七倉を目指す。高瀬ダムの下りは、テカテカに凍っており何度も転びながら九十九折の道を下った。
敗退した今回の山行の反省を思いながら暗くなった車道を歩く。願わくばもう一度挑戦したいものだ。車のヘッドライトが見え、ようやく葛温泉のゲートに到着。立ち寄った高瀬館で、明神岳のパーティーが遭難した事を知った。(記 中川)