017.8.13

メンバー 

L田中・松浦・内田(同時行動メンバー丹羽だ・吉居)

タイム

起床0:00-剣沢幕営地1:00-剱岳3:40-池ノ谷乗越5:30-三ノ窓6:00-登攀開始7:30-チンネの頭15:30-

池ノ谷乗越18:15-長次郎出合19:40-剣沢幕営地21:00

天候

午前 晴れ 午後 曇り

 

前日から降り続いた雨も夜にはやみ満点の星空になっていた。

チンネに向かうため起床は0:00。軽い朝食をとり1:00に剣沢幕営地を出立する。

前日、長次郎雪渓を責めるか、本峰経由の北方稜線でチンネに向かうか検討した結果、雪渓上部のクラック状態が思わしくないとの情報を得たので、本峰経由でチンネに向かうこととなった。

一服劔、平蔵のコルで休憩を入れ3:40に本峰到着。別山尾根は初だが、一般道にしては悪い。完全な岩登りの道だ。

 

本峰で大休憩を入れる。ちょうどこの日はペルセウス座流星群の極大と重なり流れ星を観察していた。流れ星はチンネ方向に多く見られ1分ほど空を見つめていると、星が落ちる。と皆『あ、落ちた』『どこどこ』・・・すでに星は流れていた。

北方稜線に入ると日が明けてきた。ルートを探しながら進む。池ノ谷乗越からガリーを下る。浮石が多く歩くたびに落石が起こるも昨年の滝谷比べたら、まだマシなほうだ。

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三の窓に到着するとチンネを全貌を確認できた。すでに数パーティーが取付いており、早いパーティーは核心の鼻を登っている。取り付き地点にも2~3パーティー待機していた。登攀具・アイゼン・ピッケルを装着し雪渓を横断。取り付き地点へと向かう。取り付き地点の雪渓では水が補給できた。1時間ほど待機時間があったので、今朝、真砂沢から長次郎雪渓を詰めてきたというパーティーに雪渓の状態を聞いたところ、クラックを巻けるという事。問題なく下れそうなので帰路は長次郎雪渓を使用することとした。そうこうと話しているうちに先行の丹羽だ・吉居がスタートをするが2p目のテラスに人が上がれないとのことで再度待機して待つ。その時に轟音とともに落石。本チャンの洗礼を受けた。

 

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1p目(田中)凹角右側を直上し左移りにテラスに出るトポにはⅣ級と出ていたが、快適なホールド・足が沢山ある。プロテクションはカムを使用した。終了点にはハーケンが打ってある

2p目(田中)テラス左からフェースを2~3段登りその後クラック交じりのスラブ。終了点はテラス。ハーケンありここまでくると視界が開けてきた。小窓の王が堂々とそびえ立っている。この雄大な景色を堪能できるのは日本ではここしか無いだろう。

3p目(田中)テラスから頭上のピナクルを右から回り込みテラスへ。コンテで十分なところ。しかし屈折しているのでロープの流れがわるい。田中君も綱引きに苦労したようだ。テラスにあがりきると岩の間より三ノ窓雪渓が二股まで一望できた。テラスからは左方カンテを登攀している人が見えた。どうもルートミスをして立ち往生していた。本チャンのルートミスはしたくない・・。

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4p目(松浦)ピナクルとフェースに挟まれたテラスよりフェースを登りリッジにあがる。出だしの一手を取れればという記録を見たが、特に一手を探すほどの難しさはなかった。松浦さんも写真撮影に余裕の表情で答えてくれた。リッジにあがった岩で支点を取って終了。リッジにあがるとチンネの鼻が目に入ってくる。写真で見たときは御在所前尾根p7ぐらいだと思っていたが甘かった。一の壁ぐらいは優にあった。

5p目(リッジ歩き)コンテに切り替えてテラスまで。この辺りからガスが多くなる。

6p目(松浦)左ハイマツ右側のフェース。ここでも渋滞待ちをしてから登る。ビレイをしていると所々小石が落ちてくる。岩が脆い感じだと思っていた所上部パーティーから『ラク!』との声。同時に顔面ほどの岩が八ッ峰方向に落ちていく。爆発しないだけマシだが、爆弾が落ちてきたかのようにテラスにいた人は壁に伏せていた。ロープが一杯になったところの岩で切る。フォローが登りきると核心ピッチ(鼻)の順番待ちがここまで伸びていた。

7p目(内田)リッジ上の凹角IMG_5007からピナクルを登る。ハーケンを使用していたので手前の岩で切る。ここまでくるとクレオパトラニドールが目の前の現れる。登攀しているパティーが見えるいつも思うが岩登りを横から見るとすさまじい岸壁をのぼっているように思える。剣稜会の登攀を終えた有富・太田ペアが八ッ峰方向から呼び声が聞こえるが、ガスが多くいまいち何処にいるか解らない何処にいるか解らないまま情報交換。どうやらこのまま本峰にむかうらしい。

8p目(内田)リッジからピナクル。再度リッジを右から巻きフェースを登る。核心手前のテラスで切る。ピナクルはフォールドも豊富で快適だ。リッジを巻くとロープが固まったかのように流れない。先が詰まっていて時間もあるので一旦ピナクル頭上まで戻りロープの流れを考えてクリップし直したが、流れはよくならなかった。あきらめて綱引きをしながらフェースを登った。DSCF1599DSCF1597

9p目(田中)核心ピッチ。通称チンネの鼻。ここまでの岩とは規模が違う更にハングがある。まずは、カンテからハングを2回乗越し、その後40mのスラブ。ロープ一杯になりリッジ手前で切る。先行に2~3パーティーいたので、ムーブとガバの場所を確認する。その為全員問題なく登れた。そこからのスラブは長いが上に行くと高度感もあり気持ち良い。この時に出会った大阪の男性と青森の女性パーティーとは下山日も同じでありよく話をした。

10p目(田中)リッジからコブ登り再びリッジ。左方カンテとの交流地点ともあり、先行の丹羽・吉居パーティーとの間に一組いたが、同じ仲間だということを申し入れたら心おきなく譲ってくださった。リッジ上部は歩けなくなるほど細くなって高度感も出てきたが、足場が安定しており問題ない。感じ的には前尾根のp7後半というところか。途中でロープを岩で切る。

11p目(田中)リッジ。ナイフリッジだが高度感がなければⅡ級程度だろう。登りきるとチンネの頭まで進んだ丹羽・吉居ペアがロープを解除していた。

12p目(優しいリッジ歩き)コンテにてテラスまで歩く。途中チンネの頭があり写真撮影をしたかったので、撮影を松浦さんに頼む。小窓側は切れ落ちており高度感抜群だ。落ちたら三ノ窓まで1000m近くは落ちるだろう。撮影を他のメンバーに進めるも誰もやらなかった。IMG_5008DSCF1609

終了点からチンネと三ノ窓の頭の暗部へ下る。懸垂支点もあったが、明確な道もあったので歩いて下る。暗部からは池ノ谷ガリーに向けて懸垂を2ピッチ行う。時間も押してあったため後方パーティーも続々と降りてくる。落石が多く吉居の右手に当たる。翌日拝見したら右手は腫れていた。また余談にはなるが、丹羽がウンをもらったみたいだ。

池ノ谷ガリーを乗越まで上がっていると八峰から池ノ谷へ懸垂準備中の有富・太田ペアがいた。再度今後のルートを確認すると本峰に向かうらしい。池ノ谷乗越に到着すると雪渓を先端から降りるか八つ峰側の岩場を下り急な雪渓をさけて熊の岩手前で雪渓に移るかで話し合いを行った結果、岩場ルートを選択した。途中、懸垂を入れたため時間がかかったが、安全に下降できた。クラックが無くなった所で雪渓に移動し下る。下っているうちに日没。所々雪渓が無くなっていて悪いところもあった。ガスも多くなってきて剣沢との出合いに到着したときは視界は20mほどだった。剣沢から田中・松浦・内田と丹羽・吉居に分かれて進む。吉居が遅れてきたためだ。剣沢を登っているが一向に夏道が現れない。視界もあまりないため見わたせない田中の感覚とGPSで進む。夏道が現れたときの安心感は大きかった。ここから1時間ほど登って剣沢小屋につく途中携帯の電波が入ったので幕営地の仲間に連絡を入れる。小屋まで登ると丹羽まが出迎えてくれていた。時刻は21:00だった。

テントに入りトン汁と寿司ををいただきお酒で本日の祝杯を挙げた。小一時間ほどしたら丹羽・吉居組が到着し再度祝杯し早々に就寝した。