日程:8月13日
メンバー:L坂口弘記 丹羽大輔(記録)
タイム:涸沢0640~五・六のコル0750~奥又白谷0830~A沢上部0930~北条=新村ルート登攀開始1100~終了点1600~涸沢1800
正月に控える冬山合宿の為に、本来なら前穂高岳北尾根を慶応尾根からアプローチすべきなのだろうが、時間的なこともあり奥又白谷からのアプローチで取付く。
尚、丹羽は夏山合宿入山3日目で涸沢から、坂口は入山初日で上高地からの別々でのアプローチにより10時頃奥又白池もしくは奥又白谷の雪渓上で集合することで事前調整していた。
8月13日 天気:晴れ
夏山合宿の滝谷隊が朝早い起床であった為、一緒になって朝ごはんをいただくが、まだ相当早い時間ということもあり二度寝を決め込む。予定では7時半くらいに出発するつもりにしていたが、あまり眠れなかったので少し早いが6時40分くらいに涸沢を出発することにする。
早く着きすぎても仕方がないので、ダラダラと五・六のコルに向かって歩き出す。ちょうど10年近く前、会長と澤君と前穂北尾根にドキドキしながら登って以来この道を歩いていなかったので懐かしい気もしたが、ずいぶん道がしっかりしていることに驚いた。
だいぶダラダラと歩いたのか五・六のコルまで1時間10分もかかってしまった。水を一口飲んですぐに出発する。別に急いでいるわけではないが、疲れてもないので休む必要もなかった。五・六のコルから奥又白側は初めてだったがトレースは涸沢側程ではないが、しっかりついていた。
ただところどころ、斜面の切れたザレ場や4m程度の傾斜が立った岩場など気が抜けない箇所があり、単独だったので慎重に通過する。また尾根からガレた奥又白谷の支沢?に降り立ち、やや下ってから右の尾根にトラバースするのだが、意識しないと下り過ぎてしまうかもしれないと感じた。そこを通過すると大きな谷・奥又白谷に到着した。遠く上の方からコールが聞こえてきた。単独だったので人の声を聞くと安心した。
奥又白谷から奥又白池までの登山道がこれまでの道より不明瞭になってきた。やや下りながら尾根に上がる道(その先に奥又白池がある)がうっすら見えるが、昔の記憶と直感から奥又白池はもっとその尾根の上部にあるはずだと思い、ガレた急なA沢を上がっていくことにする。足元が不安定なところ標高差150mくらい上がったが、記憶の彼方にある奥又白谷へのトラバース道がなかなか出てこない。このまま登り続けて大丈夫なのかと不安になり始めた頃、ふと左側の奥又白尾根上を見ると誰か立っている。
坂口君だった。まだ9時半だ、早すぎる。後で話を聞いてみると、むこうも相当飛ばしてきが、奥又白尾根をこのまま登り続けて大丈夫なのかと不安になっていたらしい。無事に奥又白谷で合流できて一安心した。あのまま奥又白池への道を上がっていたら坂口君との合流に苦労していたのかもしれなかっただけに結果オーライだった。
合流した地点は奥又白谷の最上部であり傾斜の急な雪渓をトラバースしなければならない。丹羽は12本アイゼンにバイル持ちだったが、坂口君は8本軽アイゼンだけだったので怖かったようだった。もう少し下からトラバースをすると良かったのかもしれない。
C沢に入るとガレ具合も安定してきた。チョックストーンの手前まで行くと右に踏み跡がある。
そのまま辿っていくと北条=新村ルートの取付きだった。11時登攀開始。
1P目 丹羽 Ⅲ級 凹角。
快適。もう少し上がれたが早めに切ってしまった。
2P目 坂口 Ⅳ級 右トラバースしてフェイス。
ここで残置に導かれてルートを外す。右トラバースはおかしかった。非常に狭いレッジで切る。同じスタンスに二人の足が乗っている。また岩が明らかに脆い。
3P目 坂口 Ⅳ級+ フェースを左上して凹角。
リカバーを坂口がいく。岩が脆い怖いフェースを左上して抜け出すと正規ルートに戻れた。正規ルートは岩がしっかりしていて安心した。ハイマツテラスへ。先行パーティが大騒ぎして登っている。一体何が起きているのか。
4P目 坂口 Ⅳ級(A1) フェースから右にトラバース
イマイチ今居るテラスがハイマツテラスか自信が持てなかったが、トポの写真から確信を得た。いろんなところに残置があるので非常に悩ましい。核心ピッチなので坂口君。岩がカッチカチで坂口君は快適にフリーで越えていった。丹羽は二回ハングを越えるのに苦労する。二人分の荷物(10kg以上)をセカンドが担いでトップを空荷にする作戦をしているため、このハングが厳しかった。荷物が重くてムーブが起こせない為、最初のハングに苦労する。結局非常に残念だがアブミをだす。二つ目のハングはガバホールドばかりで荷物が軽ければ快適なのだろうが、ここもパワーを要する。あまりにも消耗してしまいトラバースはA0してしまった。ピナクルテラスで切る。
5P目 坂口 Ⅳ級 右にトラバースからカンテ直上
丹羽がビレイ点に着く頃には、ヘトヘトになってしまい、とてもトップではいけなかったので坂口君が行く。面目ない。やや下り気味にトラバース。フォローでも落ちれないので慎重になる。カンテは快適だが、やはり荷が重い。
6P目 丹羽 Ⅲ級 岩場直上
最後フィナーレを飾ってくれとのことでいく。もはやロープは要らない。
終了点からは一先ずⅣ峰頂上に向かって登り、ハイマツ帯を抜けると頂上を右に回り込んでいくトレースがでてくるのでそれを辿ると北尾根にでた。あとは慎重に五・六のコルまで下る。
夕方になってブヨが出始めた為、休憩なしに涸沢へと急いで下る。
18時に到着した。