六百山~霞沢岳南尾根

2022年5月2日~4日
メンバー:L吉村、江刺
記録:1日目・江刺、2-3日目・吉村
タイム:1日目、河童橋(5:45)-コル(9:00)-六百山(12:05)-2447m幕営(13:40)
2日目、出発(5:00)-K1ピーク(8:45)-霞沢岳(10:15)-2140m幕営(15:30)
3日目、出発(5:00)-沢渡駐車場(8:15)

前夜20時に一宮駅を出発し、22時40分には沢渡の駐車場に到着。GW連休中だが意外とスムーズだった。駐車場はほぼいっぱいで賑わっていた。その晩は駐車場で車中泊。

 

1日目、5月2日

4時に起床。上高地行きバスの始発は5時なので、モーニングコーヒーを飲んでゆっくり準備。

駐車場から5分ほど歩いて沢渡バスターミナルへ。意外と冷え込みはなく、もうヘッドライトがいらない明るさだった。

バスターミナルでチケットを購入。上高地までは片道1,300円。バス待ちの列ができていたが、始発に乗ることができた。

25分ほどで上高地のバス停に到着。ここもかなりの人で賑わっている。準備を整えて5時40分に歩き始める。

河童橋公衆トイレ横から入る

5分ほど歩いて河童橋へ。昨晩は雪が降ったようで、見上げる山の木々には雪がついていて綺麗だ。朝靄がかかっているところに朝日が差し込み幻想的な感じ。

河童橋の手前のトイレ脇から六百山へと入っていく。ちょうど猿の親子が戯れていて、こんなところから人間が入ってくるのかと驚いているようだった。

なんとなく人が通った跡をたどりながら、急坂を登っていく。

15分ほど登ったところでさっそく休憩。縦走装備の重さに身体が慣れておらず息が上がる。

谷に出ると雪渓が出てきたのでアイゼンを装着して、谷筋を登り詰めていく。

途中、4人組のパーティに会うが、彼らはコルまで上がってみるだけという。今回の山行途中に会ったのはこのパーティのみだった。

荷物の重さと長い急登続きで先が思いやられるが、振り向けば緑から白へとグラデーションに色を変える穂高連峰が青空に映えて絶景。景色に元気をもらい、淡々と登り詰めた。

9時頃にコルの上へ。上がってみると風が強くて寒い。

奥穂が見える

ここからは尾根沿いに進む。さらなる急登で、新雪をよけながら岩、木の枝や根っこなどを掴んで登っていく。片側が切れ落ちているので、滑り落ちないように注意しながら進む。

吉村さんの後ろを必死に追いかけて登っていたが、足場がごっそりと崩れ落ちて回り込まなければいけなかったり、アイゼンが根っこに挟まり抜けなくなったりと手こずって時間がかかってしまった。

気づけばだんだん雲が湧いてきて、雪が降り始めた。風も強くなって寒い。

六百山の山頂直下ではロープを1ピッチ出して岩場を直登。最初に高さ1.5mくらいの垂直の岩壁を越えなければいけない。

岩場には薄く氷が張っていてアイゼン、ピッケルが決まらない。掴みどころがなく、重いザックを背負った身体がなかなか持ち上がらず大苦戦。

頭上からは吉村さんの「登ってよー」という声が聞こえる。私だって登りたいが、これは無理かもしれない、と一瞬思った。

あれこれ試して、なんとか残置のスリングに手が届きそれを使って身体を持ち上げることができた。

一番の難所を越えて、12時5分に六百山に登頂。三角点がポツンとあるだけだった。

そんな余裕はなかったが、必死に登った岩壁の写真を撮っておけばよかったと少し後悔。

六百山三角点

山頂からは稜線沿いに進む。新雪の下の積雪も締まっておらず、足がズボズボハマる。

ハイマツ帯が続き、ハイマツの上をバランスを取りながら歩く。足が取られてとても歩きづらい。

13時40分、稜線から少し東側に下りた標高2447m地点をテント場にすることにした。

いい天場を見つけた

霞沢K1ピークのあたりまで今日中に行けたら、と思ったがテントを立て始めたら雪が強くなってきたので早めに行動を止めて良かったかもしれない。

風が強くなってきたので、整地をして雪ブロックで壁を作ってテントを設営。

テントに入ってラジオを聴きながら温まる。六百山は想像以上にハードで、登って来た道を思い出しながらあの岩壁を越えられて良かった、ともう一度思った。

17時に夕食の鶏だんご鍋を食べて、まだ日が沈まない18時過ぎに就寝した。

穂高が雲で覆われた

 

【感想&反省】

初めての積雪期の縦走で想像以上にハードな山行だったが、その分達成感は大きく、山頂からの景色が目に焼き付いている。

今回のGW山行に向けて、4月から三方崩山南尾根、笠ヶ岳広サコ尾根とトレーニング山行を行ったが、技術・体力的にその時の自分より少し上のレベルに挑戦できたことで縦走装備を背負って歩ききれる力が身に付いたように思う。フリーやマルチで教わったロープワークやビレイの仕方、岩壁を登るときの身体の使い方も六百山の難所を越えるために活きたように感じる。

吉村さんにはトレーニング期間から多くのことを教わった。特に、どこを歩けばもっと楽に進めるか、道に迷わないために注意しなければいけない地形の見方など、ルートファインディングの技術はとても勉強になった。また、山行中は常に安全面に気を配ってくださったので安心して歩くことができた。

今回の山行で改めて日頃からのトレーニングの大切さを実感した。よりレベルアップして山を楽しめるように、さらに山の技術・体力向上を目指していきたい。

【記録:江刺】

2日目、朝日

 

2日目、5月3日

3時に起床予定だったが、アラームに気がつかず30分寝過ごす。アルファ米とみそ汁の朝食を済ませ出発。

天気は晴れていい天気だ。日の出も綺麗だ。昨夜、夕方から降雪があったが10cmくらいと少なかった。新雪の雪はまだしまっているので歩きやすい。と思いきやそんな歩きやすい場所は少なく、ハイマツを踏み踏みして越えていく場所のなんと多いことか。

バランスを取りながら慎重に進んで行く。さらに晴れてはいるが風が冷たく顔が冷たい。

時々雪の斜面が続いてピークをトラバースする。小さなピークをいくつも超える。時間のわりになかなか進まない。

稜線上のハイマツをルートファインディングの経験を兼ねながら江刺が先に歩き、雪面のトラバースは私が先を歩いた。

やっと8時15分にK1ピーク(2567m)に着いた。歩くと暑いが、風は冷たいままだ。

K1ピーク

 

K1ピークから霞沢岳までは一般道があるので、雪が積もってもハイマツの上を歩くことを思うととても歩きやすく、あっという間にK2ピークを越えて、霞沢岳に10時15分に到着した。

霞沢岳

K1ピークから見た奥穂高岳

六百山からK1ピークまではとにかく苦労したが、その先の霞沢岳まではあっと言う間だった。

K2ピークとK1ピークの間から八右衛門沢へ下っていくトレースがうっすらあった。

霞沢岳の頂上は誰もいなくて静かな山です。

霞沢岳南尾根

ここから南尾根を下るが、登山道はなく再びハイマツを乗り越えて下る。時々雪面を拾う。ぐっと下ってからは雪庇ぽい雪の上を歩き時間が稼げる。12時に2553mの広い場所。乗鞍岳が綺麗に見える。

暑くんり、雪が腐ってきて、昨日の新雪が団子になりその下の固めの雪でよく滑る。

樹林の中に入っても、尾根が細く急なピークのアップダウンの箇所が続く。上手に西側を巻いて行く。

2304mを過ぎて雪が少なくなってきた。雪を融かして水を作る兼ね合いもあるので、2140mくらいの平な場所で幕営をする。15時30分。

昨日はせっせと雪をかき分けたが、今日はちょっと平にならす程度でいい。楽ちん。

晩御飯は麻婆春雨。18時45分消灯。

 

 

3日目、5月4日

3時に起床し、5時出発。

アイゼンは必要で付けたまま歩く。尾根の上で時々踏み跡はあるが、笹薮やブッシュをかき分け下る。

雪もなくなりアイゼンを外す。下る尾根に気を付け何度も現在地を確認しながら進むが、一度少し違う方に下ってしまう。5分ほど登り返してもとにもどって、再び下る。

発電所の貯水槽みっけ

 

7時15分に霞沢発電所の上部貯水池に着く。その近くの作業点検道を利用してつづら折りで下って下部の変電施設の脇を回って道路にでる。沢渡までの道で道路の崩落があり車は通行できなかった。南尾根末端の沢の崩壊も激しかった。

8時15分に沢渡第二駐車場に到着。

時間が早かったので、高速を使わず一般道で帰り、途中の明宝温泉に浸かってから帰宅した。

 

【感想&反省】

10年近く前の冬山合宿で霞沢岳の西尾根から南尾根を下山した。その数年後の5月に六百山を日帰りで登った。霞沢岳まで行って八右衛門沢を下降する予定だったが、いい下降地点が見つけられなかった。

あれから数年経っての六百山登山。上高地から近くて、登山者が少なく静かな山だ。

雪渓の登り、頂上付近の急斜面とルートファインディング、六百山からK1ピークまでがとにかく苦労する。ハイマツ上の歩行や雪壁斜面のトラバースと思った以上に時間がかかる。が面白い山だと思う。

トレーニング山行を一緒に行き、今回のGW山行で2泊3日縦走をした。冬山合宿でも一緒に行ったメンバーだったので登り易かった。

1日は天気が悪く、入山日をずらして2日から入山した。1日目の午後からは天気が崩れたが2447mの北東へ延びる尾根下り口の雪面はテントを張るのに風が避けられいい場所だった。2日目、3日目はいい天気になり良かった。

なかなか楽しく充実した山行となりよかった。

【記録:吉村】