笠ケ岳~弓折岳
2017年5月2日(火)-4日(木)
メンバー L吉村、太田
記録:1日目・3日目吉村、2日目太田
タイム 1日目:新穂高登山指導センター(5:30)-穴毛谷砂防堰堤(6:30)-広サコ尾根分岐(10:15)-2200m(13:15)
2日目:2200m(4:40)-クリヤの頭(5:50)-笠ケ岳(10:00)-抜戸岳(13:00)-秩父平(14:30)
3日目:秩父平(5:30)-弓折岳(7:15)-左俣林道橋(9:20)-新穂高温泉登山指導センター(11:40)
前夜22時に名鉄萩原駅で合流し出発。
道中の東海北陸自動車道で緊急工事のため白鳥-高鷲間で通行止め。強制的に一般道に下ろされ、再び高鷲から高速に乗る。1時過ぎに新穂高温泉の無料駐車場に到着し仮眠する。
1日目、5月2日
4時半に起床し、準備し新穂高登山指導センターへ移動。登山届を提出して朝のお勤めを済ませる。5時半に出発。林道を歩く。下の方は雪が少ないように感じるが、穴毛谷の堰堤は雪でだいぶ埋まっている。
堰堤でアイゼン類を付けて一の沢を1時間程登ってから左手の広サコ尾根東北支稜に取り付く。雪の斜面を詰めて、木登り気味に登って支稜線上に8時10分くらいに出る。日差し強く日焼けしそうだ。最近入山があったようでトレースが薄っすらついている。
2時間ほど歩いて広サコ尾根と合流する。時間とともに雪が緩み、足場が気になる。12時頃、尾根上の岩峰が見える場所に出る。尾根上を進むこともできるが、トレースが大きく巻いていたので、ありがたく使わせてもらう。私は腿が筋肉疲労の感じでつり出す。もう長くは歩けない。
12時35分、大きく巻いて尾根上の森林限界付近に出ると、先行パーティーの幕営跡地がきれいに残っている。太田とは少し距離が開いた。なかなか上がってこないので声を掛けると、雪の切れ目で左足がはまり抜け出せなくてもがいている。
太田の所まで下り、ザックを下ろさせる。マットがザックの外側下部にくくり付けてあり急斜面に置くのに安定しないので、私が押さえているようにする。身軽にしてからピッケルで雪をかき出すが、なかなか足を抜け出せない。
30分以上かかりやっと脱出。尾根へ上がり、この先クリヤの頭まで上がろうかと思ったが、翌朝の雪が硬い時間にサクッと登ることにする。13時15分、幕営時間に早いが、幕営跡地を利用させてもらう。天気よく景色もよく静かで最高のロケーションンだ。贅沢だ。
15時くらいに一人クリヤの頭から降りてきた。一昨日に入山して、ここで幕営し、昨日は天気悪くここで停滞。今朝笠ケ岳まで行って今日下山するそうだ。雪が柔らかく疲れたので縦走をやめたそうです。
穂高の景色を堪能し、17時にもやし鍋を食べて、18時半に消灯する。
2日目、5月3日
3:30起床。予想よりは暖かく、たっぷり眠れた。外を覗くと星が出ている。今日も良い天気になりそうだ。食事を済ませ、4:40、出発。雪が締まっているうちに距離を稼ぎたい。昨日下山してきたお兄さんがつけてくれたトレースのおかげで、硬い雪面のトラバースも大分楽だ。
クリヤの頭に差し掛かるころ、穂高連峰が色づき始めた。この一瞬の輝きを見るために、辛くてもまた山に戻ってきてしまう。
5:50雷鳥岩。笠ケ岳山頂がまだはるか遠くにある。荷物が重く感じられ、なかなかペースが上がらない。何時頃、山頂を踏めるだろうか。
朝日はとうに昇っているが、日陰の雪はまだまだ固く、ピッケルを突く右腕が筋肉痛に。おまけにアイゼンの横刃ばかり使って歩くので、左足の親指の付け根にマメができたのか、少し痛い。順調にいけば今日中に下山できそうだし、我慢してそのまま歩くことにする。ところどころで休憩しながらゆっくり歩く。8:20、笠ヶ岳山頂が目前に迫り、やっと足が平らにおけるようになった。
9:25 笠ケ岳山頂に到着。昨日会ったソロのお兄さんを除き、これまで誰にも会わなかったが、穴毛谷あたりからスキーヤーが上がってくるのが見え、「人だ!」と思わず声を上げる。ゴールデンウィークだというのに、こんな静かな山行ができるのは贅沢だ。
山頂付近にて360度の絶景を楽しんだ後、抜戸岳に向かうが、細かいアップダウンに疲れてしまい、さらに足が遅くなる。左足指の痛みも増してきたので、しぶしぶ靴を脱いで見ると、そら豆サイズの水ぶくれができていた。どおりで痛いわけだ。
カンカン照りの下、延々と続く白い稜線を、雪庇に気を付けながら休み休み歩き13:00、抜戸岳到着。ロープを出して、吉村さんが東尾根を偵察に行くが、雪庇発達中でここからの下山は無理そうとのこと。日程的にも余裕があるし、弓折岳まで行って安全に降りることにする。今日は大ノマ岳を目指すことにして、尾根歩きを続行。吉村さんのトレースを忠実に辿ってゆくが、3、4回、踏み抜く。シュルンドにはまって30分以上悶絶した昨日と違って、雪はズブズブ、直ぐに抜け出せるのが救いだ。
抜戸岳を越えると、所々雪が消えており、ハイマツが顔をだしている。むせかえるような緑の匂い。と、「雷鳥がいる」との吉村さんの合図。白い雪。黒い岩。緑のハイマツ。どこ?目を凝らすと、見事に景色に溶け込んだ雷鳥の番が餌をついばんでいた。白い冬毛の雷鳥を見るのは私の長年の夢だったので、嬉しくて仕方ない。こんなに天気が良いのに姿を見せてくれるとは。ズームカメラを持ってこなかったことが悔やまれる。その後、もう2カップルと出会い、大満足。
14:00過ぎ、「弓折岳」を指す指道標に従い、カールを降りて秩父平へ。大ノマ岳はまだ1時間以上先。秩父平でテントが張れそうだったので、今日はここまでで許してもらう。昨日同様、お酒を飲みながら外で水つくりにいそしむ。好天に恵まれ、昨日も今日も、1人1日2リットルの行動水を要した。昨日よりは風が冷たいが、薄着で十分居られる。素手で作業できる、快適な気温だ。
18:30就寝。テントに入ってから、少し風が出てきてフライがバタつく。夜半、雷鳥の声が聞こえた。
3日目、5月4日
4時起床、たらこ入りの野菜卵雑炊を食べる。5時半に出発。朝日が昇り出す頃、太陽の横の方に虹の一部が出現。きれいだ。
途中、二足歩行ぽい動物のような足跡が。熊か?大ノマ岳を登って、大ノマ乗越に6時半頃着く。ここから山スキーヤーが沢を下っているが、私たちは弓折岳まで登る。スキーの跡が丁度よい足場になり高度をかぐ。7時15分弓折岳に到着。槍ケ岳が近くに見える。
この辺りは広く、ガスが出るとわかりづらい。左下の方を見ると、鏡平辺りにベースキャンプ地がある。まっすぐ尾根が出ていたので、そちらを下る。雪が柔らかく、膝くらいまで埋まりながら下る。抜戸岳東尾根がよく見え、下部は所所雪が切れて地面が見えている。下るには難しかったかも。
尾根を下り。デブリを横断しながら下り、左俣林道に着くと少し気持ちが楽になった。まだ先にデブリがあったのでもう少しアイゼンを付けていたが、林道が落ち着いた所で外す。10時わさび平小屋に着く。この辺りはぶなの森になっており、静かないい雰囲気の場所だ。中崎橋近くの川の水のブルーがとても綺麗。写真で上手く伝えられない残念。
林道は所所で雪が崩れた箇所があり川に落ちていかないように注意する。途中、橋の上から弓折岳の方を見ると、上高地のような雰囲気だ。穴毛谷の林道付近で、ふきのとうが沢山顔を出して春を感じる。
11時40分。新穂高温泉登山指導センターで下山届を提出して、駐車場に12時少し前に着く。中崎山荘で、温泉に入ってから食事をして帰った。