西上州 アイスクライミング

2019年2月9日(土)~11日(月)

メンバー:L田中、吉居、太田(記録)

タイム:

1日目 仔犬殺しの滝9:05 林道終点?から歩き始めるも、間違いに気が付き引き返し、9:52林道終点?に戻る。
10:06 ガードレールのある橋の脇に駐車し再出発―10:27本当の林道終点発見-11:15 犬殺しの滝ー16:30撤収17:11林道終点ー17:25駐車スペース<荒船の湯>

2日目  西上州山中放浪:7:12毛無岩登山口―8:15造林小屋―沢に入る―8:29滝発見(間違いに気が付き引き返し)―9:27 毛無岩登山口、9:44 林道ゲート-10:03 1ルンゼとの分岐―11:24 2ルンゼ? -14:00林道ゲート <やまびこ荘 日帰り温泉>

3日目 立岩3ルンゼ:6:28 林道ゲートー7:07 2ルンゼ入り口のトラロープ-7:25 3ルンゼ出会い<10分休憩>―7:45 F1 8:17田中リード 8:45吉居フォロー 10:30 F2氷部分ー11:26 F2岩稜トラバースー12:40懸垂-13:53F1基部-14:28 2ルンゼ巻き道偵察ー14:30トラロープ-15:06林道ゲート <布施温泉>

1日目 仔犬殺しの滝

前夜22時に春日井自宅に迎えに来てもらい、出発。朝、佐久市野沢の24時間スーパーで買い出しし、犬殺しの滝に向かう。「林道終点」がわからず、道が悪くなる手前のガードレール付の橋のたもとに一旦車を止める。

ガードレール脇に駐車スペースと踏み跡

踏み跡が鹿よけネットの中に続いているが、林道先を偵察に行った田中さんが「まだ車で走れそうです」というので、再び車で道を詰める。これ以上はやめておこう、という場所を「林道終点」と仮定して車を停め、赤テープを追って林道を歩くが、滝らしきものは全く見つからず、「峠に出てしまいそうだ」となる。

車はここに停めて林道を詰めてみたが…

沢沿いに林道はまだまだ続く

GPSと山と高原地図を見比べ、どうやら違う沢沿いを詰めてしまったことに気が付く。ここで1時間ロス。橋のたもとに戻り、踏み跡を進むとほどなく、本当の林道終点があり、車が1台停まっていた。

赤テープを追っていくと滝が見えてきた。赤テープはそのままどこかに続いているが、尾根をトラバースして取りつきへ。

明瞭な登山道

犬殺しの滝は凍っておらず、仔犬殺しの滝を田中リードでルートを変えて2回登る。

犬殺しの滝

仔犬殺しの滝

吉居さんも私も、「リードしようと思えばできる」という感触をもったものの、いまいち勇気出ずにフォローだけで終了。

帰りは林道終点から林道を歩いて正解を探してみる。途中、「保安林」の看板があり、よく見ると右に入れるようになっていた。(行は左に行ってしまっていた。)

ここが分岐ポイントだった

 

2日目 西上州アイス 新規開拓!?

立岩3ルンゼにマルチに行こうと、南牧(なんもく)村へ。道場までは良かったが、最後に二股に道が分かれており、とりあえず右に行ってみる。切り返しが大変な急坂を登ると、毛無岩登山口に到着。「わ」ナンバーの車が1台あり、アイス装備の2人パーティーが出発準備をしていた。

毛無岩登山口。先行パーティーあり。

私たちも準備をし、登山口には入らずに沢を降りてゆく。赤テープ・赤マークがたくさんあり追ってゆく。

赤マーク豊富

ところどころ悪い崩壊地を横切りながら1時間ほど歩くと、小屋が出てきた。

小屋!?

おかしい。小屋という明瞭なランドマークがあれば、トポに書いていなわけがない。小屋前の沢に入ってみると、すぐ左手に滝が出てきたが、マルチではない。

未登の滝!?

携帯の電波が入っているので、Google mapと過去の記録を見ると、駐車場の時点から間違っているではないか。またしても違う沢にいる…。山と高原地図にも載っている、破線登山ルートを歩いただけだった。先行パーティーがいたのですっかり安心してしまった。「目の前の滝で遊ぼうか」という案もあったが、初心貫徹、とりあえず3ルンゼに行ってみようと来た道を引き返す。

赤テープよりもトラロープが欲しいよ

トラロープあったけど悪い!

下を歩けば簡単だけどね

2時間ロスしてしまった。駐車場には「わ」ナンバーは既になかった。右折した道場の道を反対側に曲がると、写真で見た堰堤の上には1ルンゼの滝が見え、、林道ゲート前には再び「わ」ナンバーが停まっていた。彼らはどの時点で間違いに気がついたのだろう。

林道ゲートへいざ!

林道ゲートを進み、右岸を登るが、堰堤で行詰まる。左岸が正解。1ルンゼは左に進路をとるが、目指す3ルンゼは右に沢を入ってゆく。先行パーティーは1ルンゼ直下にいた。

1ルンゼ

沢の中は荒れており、流木・倒木で行く手を阻まれ障害物競争状態。

倒木、岩を乗り越えながら進む

トポにある「ゴーロ状」という言葉がどこを見ても当てはまってしまう。また、「仕事道」はかろうじて跡があるものの、2ルンゼの目印とされている「木橋」は全く見つからない。赤テープはどうやら林業用らしく、そこら中にありヒントにならない。

1時間弱歩いたが、3ルンゼが見つからない。田中さんが「行き過ぎでは」と心配し始める。偵察をすると、トラロープが見つかる。これは何かのヒントか?

トラロープ

吉居さんは沢上流を、私は目の前のルンゼを偵察。と、私の目前に滝が見えてきた。

滝だ!

離れていた田中さんに「滝が見えるー!」と叫ぶ。田中さんも追いついてくるが、「3ルンゼの写真と違う。」という。では隣の沢か?尾根に上がり、隣の沢を見てきてもらう。「隣の沢にも滝があって続いていた」との報告。

2ルンゼ?

結局、3ルンゼがどこかは分からず、タフなメンズも、「なんか…疲れた」となり引き返す。「先人たちは、きっとこうやって新規開拓したんだね。」BY田中さん。

1ルンゼをもう一度観察

やまびこ荘で温泉に入り、休憩室に行くと、二人が伸びていた。本当に疲れたようだ。話し合いの結果、明日も3ルンゼに行こうと決まった。

3日目 立岩3ルンゼ

昨日はありったけの記録を見て、3ルンゼは昨日行った地点より更に上だということを突き止めた。いざ!迷いながらだった昨日と比べ、悪い沢もだいぶスムーズに歩け、1時間で3ルンゼの出会いに到着。

開けたらもうすぐ3ルンゼ

3ルンゼの出会い。ケルンあり。

昨日の最高到達地点より5~10分歩けば3ルンゼの滝が見えたのだった。堆積している落ち葉を踏みしめながら滝に向かう。

秋山みたいだ

滝は薄いが登れそうだ。登攀の跡はなくきれいだ。田中リードでスタート。途中、横に亀裂が走り緊張。スクリューを多めに打って登る。垂直部分を越すと「腕が張りますなぁ」と一言。

下部が立っている

30分程度でトップアウトし、吉居さんフォロー。若干苦戦し、大きく落氷しながらもノーテンで登りきる。

吉居さんもパワフルに登る

さて私。足が決まらず手にばかり力が入り、パンプしてアックステンションしようとするも失敗してフォール…。と、後続パーティーがやってきた。再トライするも、パンプ回復せず、核心でアックスを振る力がなくなり登り切れない。これはしっかり休まないとどうにもならない。一度下ろしてもらい、後続に抜いてもらう。

後続のリードの方は、ガイドさんなのか非常に上手で、手も足もほとんど打ち込まずにスイスイ上がる。感心して眺めていると、更にもう1パーティー上がってきた。「あ!先週、戸台でお会いしましたね!遠征ですか?」と声をかけてくださる。東京の某労山の方だった。フォローの方も苦しみながらもトップアウトしたので再チャレンジ。もうこれ以上時間をかけられないので、何とか垂直部分を超え、ヘロヘロになって抜けた。

ところどころ氷なし。抜け口が悪い。

5級でこんなに苦しんだのは初めてだ…。6級触った時よりもなぜか辛かった。不甲斐ない思いで悪態をつきながらF2のなめ滝をコンテで登る。途中、落石が来て避ける。F1でも思ったが、このルートは先行による落石だけでなく、自然落石も多い気がする。

F2

途中からロープを出し、田中さんリードで落ち葉の坂を上がる。

落石注意

F3が見えるが非常に薄く、登れる気がしない。敗退するにも懸垂地点まで岩場をトラバースせねば、ということで、田中さんリードで岩稜を行く。

この先に核心があった

岩場を回り込んだあたりで、普段静かな田中さんの「うわっ…」というつぶやきが聞こえるが、待機場所からはどうなっているのか見えない。吉居さんが続く。見えなくなってからしばらく、激しい落石・落氷音と「落ちましたぁ~」の声。とりあえず無事なようだが、会話を聞いているとだいぶ怖そう?しばらく待って、恐る恐る私の番。

なるほど、中途半端に凍った凹を登るのね…。凍っているので手の場所を選ばないと滑る。

ここも、良い年はアイスになるらしい

田中氏、よくプロテクションなしで行ったな。吉居さんは振られ落ちしたということで、私のためにランニングが1本、追加されていたが、激落ちには耐えられないから気を付けるよう言われる。慎重にドキドキしつつ登っていると「ラーーークッ!」の声。顔をそむけたが、両手両足は動かせないので逃げられない。石が頬をかすめて擦り剥ける。F1で心が折れているのに、重ねて悪い岩登りの核心で顔に落石が当たる。うまく避けるのも技術だろうが、泣きっ面に蜂だ。

振られ落ちすると危険

ちなみに先行パーティーは「アイスに来たはずなのに、何してるのか、もはや分からないですねー」と言いながらF3のミックスを果敢に登り、後続の労山さんは「アイゼン減るから撤退しまーす!」とF2のアイス部分をクライムダウンして行った。

F3 氷なく、もはや岩登り

私たちも懸垂して撤退。F1の下降点は残置スリングがだいぶ減っていたので、私の捨て縄を足す。この捨て縄が朽ちるまでに5級を安定リードできる力をつけてまた来たい。

その後、再度偵察をしたりして、昨日見た滝はやはり2ルンゼだろうという確信を得て下山。トポでは2ルンゼと3ルンゼは隣の沢のように見えるが、実際はリッジをいくつか超えるようだ。

3ルンゼの出会いあたりから、尾根を横切る明瞭なトレースがある。

 

どの踏み跡も、結局この丘の赤い杭&ピンクテープにつながり、この沢を詰めると昨日見た滝に行く

沢からはトラロープが目印

アイスに来たが、秋山のような落ち葉の中をたくさん歩き、泥だらけになった週末だった。

上州のドロミテ。秋山のような光景。

布施温泉に寄って、望月で中華料理を食べて帰宅した。