稲子岳南壁左カンテ
2019年2月10日(日)ー11日(月)
形態:登攀
メンバー:L斎藤・馬場・伊藤(登攀せず)
タイム:
10日06:15ゲート前駐車場-08:15しらびそ小屋-11:10分岐看板-12:30南壁取り付き-15:25本沢温泉
11日05:20本沢温泉-07:30分岐看板-8:45南壁登攀開始-12:00終了-13:30しらびそ小屋14:55下山
天候:晴れ
早朝に到着した稲子のゲート前駐車場は既に満車に近く、車はスタックと手押しを繰り返して何とか駐車することができた。準備が整ったらゲートを通過して橋を渡り、しらびそ小屋へ向かう登山道を登る。空が白んできて気持ちのいい青空と稜線が見えてきたが、その分とても冷え込んだ朝だ。アルパイン温泉女子3人組はおしゃべりを楽しみつつ道を進んでいくと、しらびそ小屋では餌付けされたリスやホシガラスたちがお出迎えしてくれた。
取り付きへたどり着くには馬場は2013年の夏に登攀している稲子岳南壁なので、以前の夏ルートは把握しており、ここから20分ほど中山峠に向かった場所にある分かりにくい沢地形を右折して岩を見上げつつ時折あるテープを確認しながら悪いガレ場を登って取り付きと言う。伊藤はしらびそ小屋から登山道を外れて入って行くルートがあるはずと言う。斎藤は中山峠に近いところまで登ったら看板があり、GPSログもダウンロードしてきたのでそこから入ると言う。ただ、そのGPSログは迷ったと書いていた人のデータだったので馬場は少し心配になったのが的中した。看板が見つからないままあたりをつけ、歩けそうなところから登山道を外れて稲子岳にむかってラッセルを開始するが、踏み抜きそうな沢や荒地に阻まれ引き返す。結局、以前に馬場が見つけた夏アプローチから入ろうと、しらびそ小屋に向かって下りる途中で話しかけられた登山者に看板はもっと上にあると教えられ、また登り返した。
我々が諦めた場所より少し上で稲子岳への看板をみつけることができ、そこからは淡いひと気の形跡を見つけながら稲子岳の岩峰を目指して取り付きを探した。アプローチ核心とはよく言ったもので、調べきってわかりきったものに誘導されるのではなく、これもアルパインの面白さの一つである。あーでもない、こーでもないと、クイズを解くように探りながら取付をみつけたら登山道へ引き返し、その日は下って本日の宴会場である本沢温泉へ向かった。
朝から一日中歩き、疲れた身体をお楽しみの温泉で癒やそとしたのだが、非常に熱くて感嘆の声をあげつつ湯に浸かる。ビールが呑みたくなるまで温まり、談話室で夕飯となるが、薪ストーブがついていなくて、せっかく温まったのにあっという間に冷えてしまった。聞いたとこによると夏の小屋当番が薪割を怠ったそうだ。今夜のメニューは馬場の定番、香草オリーブオイル煮、バゲットをストーブで焼きながらクリームチーズにメープルかけをつけて食す。ところがパンにオイルをつけて食べ過ぎた伊藤が夜半に腹を下す。食べ過ぎ注意だ。
朝はゆっくり出発の伊藤に見送られ、斉藤と馬場は小屋を発って昨日確認した取り付きへ向かう。二人を見送った伊藤は下したお腹を癒すため朝イチ混浴タイムの温泉へと向かった。
斎藤と馬場は同じ道を通過するのは4回目だ。取り付きに到着し登攀準備をする。天気は昨日からうって変わって風も強く曇っていて極寒だ。冬のアルパインとは山スキーよりは寒くないと馬場は思っていたが、どうやら寒いほうらしい。
1P
初っ端から大股のトラバースの一歩が背の足りない女子には塩っぱい。
2P
ゆるい凹角を登る。
3P
V字を登る。クライミングシューズなら簡単なのに。
4P
落石の多い箇所を抜ける。他にクライマーがいると落石の不安がいっぱいで辛い。
5P
凹角が2つあり、右側を登る。
6P
斉藤は目の前のルンゼを登るか、稜線が見えたほうにトラバースしてから登るか考えたあげく、まずはトラバースして偵察に行った。そのまま登れそうだったので登攀を続けることにしたが、途中にハーケン等の残置もなく、草つきの脆いテクニカルなルートをカムでランニングをとって登った。ルートを外してしまったか?と思ったが終了点があったので、マイナーではあるが過去には登られていたルートなのだろう。登攀完了したあとは稜線から下り看板のある分岐までもどる。
お腹の調子が悪くて硫黄岳をあきらめた伊藤は中山峠に向かうか、体調が悪ければしらびそ小屋で待っていると言う。約束の時間までに行けそうだと思っていたら、分岐点にツエルトが見えた!「アンバヨー」伊藤が斎藤と馬場が戻るのを待っていてくれた。嬉しいお出迎えだ。そこからはまたアルパイン温泉女子部の楽しいおしゃべりに花を咲かせつつしらびそ小屋まで戻った。小屋ではもちろんチーズケーキセットをオーダー。ゆっくり休憩したあと下山し、ヤッホーの湯で山行の汗を流した。