2017年5月3日(水)~5月5日(金)
剱岳赤谷尾根
メンバー L田中、福井、多田、福島
タイム 1日目 駐車場(6:00)―赤谷山山頂にて幕営(14:34)
2日目 幕営地(5:20)―白萩山(5:43)―赤ハゲ(6:15)―白ハゲ(6:49)―大窓(8:16)―池平山(10:56)ー小窓乗越にて幕営(14:59)
3日目 幕営地(4:57)―小窓の王(6:21)―三の窓(7:11)―池ノ谷ガリー(7:33)―チンネ(7:48)―池の谷乗越(7:54)―長次郎の頭(8:35)―剱岳山頂 (9:32)―早月小屋(12:19)―馬場島(15:23)―駐車場(15:40)
記録1日目 福島
前日19時に福井邸より出発。馬場島Ⓟで仮眠。朝4時起床。寒さは全く感じず穏やかな晴天。6時出発。ザックが重くて平地歩きでもなかなかスピードが上がらない。出発前、多田さんが持ってきたバネ計りで各々の重量を軽量。自分が一番重い。食事担当のため今日を乗り切ればずっと楽になると思っていたが、今日を乗り切れるのか?林道を歩き、橋を過ぎて赤谷尾根の末端に取り付こうとしたが、橋の手前で右に入った方がいいことに気づき少し戻る。そこから堰堤を過ぎると赤谷尾根の末端に着く。堰堤から見て左側の雪渓を詰めているパーティーが見えるが斜度がきつく、踏み跡もしっかりしている一見緩やかに見える堰堤正面の雪渓を選択して登り始める。その後は主尾根までひたすら急登を藪漕ぎ。こんなに長時間藪漕ぎしたことがない自分は心が折れかけて帰りたくなってくる。劔岳の計画が出てルートを調べた時、手強い山だと思ったが、それは赤谷山に上ってからで、藪漕ぎについては軽く考えていた。先頭の田中さんは埃っぽいダニだらけの藪を素手でガシガシ漕いでいく。ヘロヘロの自分に後ろから福井さんがもう少しで尾根上に乗れると何度も励ましてくれた。10時、尾根上に出てアイゼンを付ける。やっと登れるとホッとしたが、今度は容赦なく照り付ける太陽と時々出てくる藪漕ぎに再び心が折れる。インナー1枚で登っているのに暑い!持っていた飲み物がどんどん減っていく。最後は足を前に出すことだけを考えて、無心に歩いた。赤谷尾根は明瞭なので道を外すことはないが、ところどころ大きな穴やシュルンドがあった。また、気温の上昇に伴い岩交じりの雪崩の音が方々で聞こえるようになる。田中さんが最低でも1日目は2100m地点まで登ると言っていたが、予定より早く12時30分頃に2100m地点に到達したため、そのまま赤谷山頂上まで登ることになる。ズブ雪に足を取られながらゾンビのように歩き、14時34分、赤谷山頂上に出る。頂上は一気に視界が開け、明日行く予定の険しい稜線と山頂が見えた。思わず疲れが吹っ飛ぶほどの絶景であった。その後、整地し幕営となる。夕食はスキ焼に締めはうどんとした。あー!これで明日は荷物がグッと楽になるだろうと心底ホッとして、アッという間に眠りについた
記録2日目 多田
2日目 幕営地(5:20)―白萩山(5:43)―赤ハゲ(6:15)―白ハゲ(6:49)―大窓(8:16)―池平山(10:56)ー小窓乗越にて幕営(14:59)
起床後、タバコをふかしに外へ出ると空がわずかに明るくなってきていた。風もほとんど吹いてなく天気よし!少し先の白萩山山頂付近に先行していた岡崎山岳会と思われる明かりが見える。
福島さんが作ってくれた朝食を食べ出発準備にとりかかるころにはあたりは明るくなっていた。
本日の幕営地は三ノ窓、赤谷山から直線距離3.5kmほどだが行く手を阻む急峻な峰を何か所も越えなければならない。
トレースはしっかりついている。
日差しが本格的になってくると雪が緩んできて気が抜けない。
方々で雪崩の音が聞こえる。
もうすぐ大窓
ハイマツ帯を懸垂下降して大窓
大窓と池平山の間にある岩峰
東側(写真左側)の斜面になだれ箇所があり岩峰にくっついている雪もいまにも崩れ落ちそうなのでザイルを出して通過する。
(田中くんがもってきたボールナッツでしっかり支点構築!)
小窓への下降点へ到着
岡崎山岳会が下降中、他1パーティの2名が順番待ちをしていた。
15分ほど待ったがなかなか進まないので我々は違うラインで下降することにした。
1ピッチ目はハイマツで支点を構築してすぐ下の灌木までいく。
灌木には捨て縄が掛かっていた。2ピッチ目で少し下にある広い雪面に出たら雪崩発生。
点発生で表層数センチ程度である。ザイルが雪面を動くだけで敏感に反応する。
先行パーティがいる為、しばらく待機。
全員が小窓に降りついたのは1530を過ぎていたので本日の行動は終了とした。
3日目 晴れ
4:57小窓 6:21小窓の王 7:11三の窓 7:54池の谷乗越 9:32劔山頂 12:19早月小屋 15:23馬場島
小窓より昨日小規模な雪崩があった斜面を登る。
早朝で雪は締まって歩きやすい。45分ほどで稜線に出る。予定では1時間半を要すると思われたが、福島さんのペースは速く追いかけるのが大変であった。
アップダウンを繰り返し、小窓の王の基部には1時間半ほどで着く。
そこより懸垂60mで三の窓手前2~30mの場所に降りた。
落石に注意してトラバースし安全地帯へ到着。一休みがてら、嶌村さんたちの雪洞を確認するも荷物はほとんど持って行った様子。
池の谷ガリーの4~50度の斜面を上がり、乗り越に着く頃にはガスが出て周りが見えなくなった。しかし歩行には差し支えない程度であり、雪庇に注意し、時折口をあけて待ち構えるシュルンドにも気を付けながら稜線を行く。
頂上に向かう前の急な雪壁には緊張が走った。いつも劔では天気が悪い田中君のためか本日は快晴である。多田さん、福島さんに至っては初劔を赤谷尾根からのバリエーションである。羨ましい限りだが、皆とともに感動を覚える。
祠で記念撮影、360度の景観を楽しみ早月小屋へ向かう。
稜線上が目視でき足取りも軽い。途中、日向ぼっこのライチョウを見る。
冬劔では熊を…やはりライチョウの方が可愛くて良い。
獅子頭の懸垂は順番待ち、前のパーティーが竹ペグを雪に埋めて降りていた。
胃が痛くなりそうであった。私たちはハイ松で既設のシュリンゲを使い60Mを降りる。
早月小屋に到着すると「ガイドの角谷さんがいます」と田中君の声。
いつもながら有名人を見つけるのが早い。以前、木曽駒で登山家中島健郎君とちゃっかり写真を撮ったことを思い出した。
小屋を過ぎ馬場島に向かう途中でアイゼンを外す。
恒例の石碑(試練と憧れ)の前で記念撮影、アルプスの湯に寄り帰名する。
記)福井