三方崩山 南尾根 2017年3月19日(日)~20日(月)
L S村、小川よ、岩津、太田(記録)
タイム
1日目 : 5:30 道の駅飛騨白山-5:45 白山公園線ゲート-6:05 ワカン装着林道歩き-6:45林道崩壊地点通過-8:05 大ノマ谷出会い-9:10 第4岩稜手前で左に折れ、稜線を目指し急登-14:50 稜線に乗る-16:00 1750m地点、コルにて雪洞掘り-18:15 雪洞完成-20:00夕食-21:30就寝
2日目:4:00起床-6:00出発-8:00 ロープ必要な箇所通過(20m程度、小1時間消費)-10:50 一般登山道に合流-11:20 山頂-15:05 一般登山道より下山完了-しらみずの湯
18日(土)20時に名古屋駅に集合し、道の駅飛騨白山に向かう。いつもなら荘川インターから下道に下りるが、数週間前に雪崩があった影響で、一部夜間通行止め区間があり、白川郷まで行ってから戻る。道路脇の温度計は-1℃を示している。道の駅に着いてみると、既に車が10台程度ある。こんなに賑やかなのは初めてだ、とメンバー全員で驚いてしまった。暖房が効いているトイレの中にはスキー板やブーツが置いてある。山スキーの方たちか。少し飲んでから仮眠する。
19日(日)4:30起床。外に出てみると細雪が降っている。快晴の春山を思い描いて来たが、さすがは豪雪地帯。とはいえ、夜明けとともに雪も止み、5:30 出発。トレースがある一般登山道の入り口を通り過ぎ、白山公園線に入る。
5:45 冬季通行止めのゲート前で、S村さんがヘッドライトを落としたことに気がつき、探しに戻る。すぐに見つかったようで、そう待たないうちに戻ってみえた。再び林道を歩き始めるが、結構雪が深い。6:05 早々にワカンをつけることにした。表面が硬化しているモナカ雪の上をパリパリ歩く。モナカというよりは、クリームブリュレのカラメルを割っている気分。途中、岩津さんのワカンが調子悪く、直す。紐が止め具から抜けてしまうようなので、テーピングで補強。
先頭を代わりながら進むこと小1時間。林道が雪崩で埋まっている箇所に差し掛かった。雪崩・落石防止ネットが無残に敗れている。山側はデブリ。反対側は川。怖いのでS村さんにトップを代わってもらう。
ストックをピッケルに変え、左側の川底と右側の破れた金網、不安定な足元を気にしながら堆積したデブリをいくつも超える。
8:05 大ノマ谷出会いに到着。川に5段くらいの堰堤があるのが目印。林道歩きはもう終わり。目前には誰の踏み跡もない、まっさらな雪原が広がる。久しぶりのお山で活き活きとしている岩津さんが嬉々としてトップを切る。先週のウイメンズマラソンの疲れを全く感じさせない軽やかな足取り。
岩津さんがつけてくれた足跡を見ると、結構浅い。意外と沈まずに歩けるのか?楽勝?と思ったら大間違いで、私が歩くと沈む沈む。小柄でスリムな岩津さんがうらやましい。どんどん遠ざかる岩津さんを必死で追いかけるが、なかなか進まない。早くもバテはじめる。
あまり谷を詰めすぎずに、早めに尾根に上がることにする。登りやすそうな斜面を選んで取り付く。太陽が照り付けて暑い。雪がしっかりついており、またそれなりに斜度があるので、しっかり蹴り込まないと足場がすぐ崩れる。右に巻くか、左に巻くか。都度見極めながら進む。私は初の積雪期のバリエーションルートなので、これも新鮮でまた勉強になる。デブリゾーンにさしかかり、早く抜けたいが、雪が堅くて歯が立たない。S村さんにトップを交代してもらう。
急斜面をじっくり登り、そろそろ主稜線も近いか?と思いきや一難去ってまた一難。ロープまでは要らないが、悪い箇所の連続。斜度がきつかったり、落とし穴があったり、堅くてワカンが蹴りこめなかったり、足場がもろくて滑り落ちたり。
午後になると雪がゆるみ、足がとにかく重い。困難のオンパレードで、初心者の私は緊張疲れ。また、急登続きで足も限界。「あの丘の向こうはきっと主稜線」と願い、なんとかついてゆくが、丘の向こうにはまた別の白い丘。全然主稜線に乗れない。たまにはトップを努めなければ、と気ばかり焦るが、足が前に出ない。結局、ほとんど他のメンバーに頼りきりで、体力の無さを痛感。14:50 何とか主稜線にたどり着いた。
晴れてはいるが、風が強く、雪が舞っている。ヘトヘトなので、ここで止まって雪洞を掘りたい衝動に駆られるが、第四岩稜(?)のコルまで行くこととなる。16:00何とか1750m地点のコルまでたどりつき、雪洞掘りを開始。風がビュービュー通り抜け、寒い。4人が快適に過ごせる空間ができるまで、2時間掛かった。
水を作り、鳥鍋を食べ、お酒を飲む。新田次郎小説でしか読んだことがなかった、寝袋をみんなで頭からかぶり、ガスを囲んで櫓こたつにし、暖を取る経験もできた。21:30就寝。
20日(月)寒くて眠れない長い夜になるかと思いきや、あっという間に朝が来た。4:00に起床し、フランスパンのサンドイッチとスープで洋風の朝食。シンプルだが美味しい。昨日は終日ワカンで過ごしたが、今日はワカン+アイゼンで出発することとなった。ワカンの紐が凍っていて締まらない上、足が小さいせいか、ワカンの底紐とアイゼンの歯がどうしても干渉してしまう。あちこち痛んでいるワカンなので、今日一日、紐がちぎれずもってくれればそれで良いことにする。準備をしているうちに日の出を迎えた。
出だしから、急なブッシュを登る。木に頼るな、といわれるが、やはり握らないと登れない。早くも心拍数が上がる。
朝日に輝く美しい雪面に足跡をつけてゆく。
8:00 もっさり雪がついた突起に差し掛かる。頂点には木があり、まかないと超えられそうにない。小川さんが慎重に様子を見に登る。左側は切れており、右側は急な雪壁とのこと。結果、ロープを出して右から巻くことになった。ゆっくりロープが伸びてゆき、ピッケルで雪を切っている音が聞こえる。岩津さんが渡り、私の番。ロープがあるとはいえ、なかなかスリリング。小川さんはよくこんなところトップで行ったなぁ…。やはりすごい。
小一時間ほどかけて全員わたり切り、次の急登へ。ここも落ちれない。S
村さんや岩津さんが足場をしっかり作ってくださったおかげで、登りきれた。
10:50分、一般道に合流。頂上はすぐそこのはずだが、休憩適地なので荷物を下ろす。アルプスの山並みが綺麗だ。小川さんは白山方向をスケッチ。高度計を見ると、頂上までは30m?
11:20、一般登山道方向からついているトレースにであう。と、いうことはここが頂上?私以外のメンバーは初めての登頂ではないが、雪が多く確信がもてない。GPSで答え合わせしたところ、正解。記念写真を撮る。
頂上を満喫し、下山開始。2,3日前のものと思われるトレースがついている。15分程度降りると、今日付けたばかりであろうトレースに出会う。奥三方に向かった方がいるのかもしれない。
登ってきた南尾根を見ながらひたすら下る。ところどころ急なので、念のため後ろ向きになる。風紋が刻まれた雪庇が美しい。
12月にトレーニングで来たときはブッシュがうっとおしかった1500m地点を通過するが、自分の背丈より高かったはずのブッシュが一つも出ていない。2m以上積雪したということか。このあたりから雪がぐさぐさになり、足が重い。
13:30一旦休憩。足が疲れで震えている。ここからは笹が覆う斜面で、一番苦手なところなので、少し構える。笹は雪の下だったが、とにかく雪が緩んでいて滑る。みな、しょっちゅう足を取られ転ぶ。私はもう膝に力が入らず、転んでは立ち上がり、またすぐ転ぶの繰り返しで心が折れる。15:05這う這うの体でなんとか下山。朝、凍っていてよく絞められなかったワカンだが、一日もってくれた。ただ、やはりアイゼンの爪と干渉していた底紐は、1㎜残してちぎれる寸前になっていた。
しらみずの湯(JAFカード1枚で、2名まで100円引き!)で汗を流し、帰路についた。3度目の三方崩だったが、明るいうちに帰るのは初めてで、車窓からの景色が新鮮だった。