2017年4月7日(金)Cosmiques Ridge. (II AD 4a) コスミック岩稜

メンバー:坂口、田中、太田(記録)

タイム:7:00朝食―9:00小屋発―9:45 1回目懸垂―10:00 2回目懸垂(空中懸垂っぽい始まり)-10:30 クランポン穴のある岩越え -11:00 快適なテラス―11:30 クランポン穴のあるスラブ(本当はここを登るのが正解)を通過―11:40チムニー―13:00 本物のチムニー開始―13:45 チムニー抜け、展望台直下―怖いハシゴ―14:00展望台-15:15 シャモニー

あっという間に6日間が過ぎ、いよいよ最終日。雪原をダラダラと歩いてケーブルカーに戻るよりは、小屋の目の前にあるコスミック岩稜を登りたい。

Col du Midiからみたコスミック小屋と岩稜

Col du Midiからみたコスミック小屋と岩稜

初心者の私でも行けそうに見えるが、トポにある「チムニー2ピッチ」をアイゼンで抜けられるか不安が残る。昨日、モディカ取りつきで知り合ったガイドさんが小屋にいたので、両脇にスノーシューが付いたザックを見せ「これでもチムニー通れる?」と聞くと、「No problem!」とのこと。「初心者向けのルートで毎日人が入っているし、懸垂と簡単なクライミングのムーブが入るけれど、大丈夫」と言ってくれる。念のため、小屋のお姉さんの意見も聞く。「一か所難しいところがあるけれど、クランポン穴があるからそこに足をひっかければ大丈夫!」とのこと。モジつくかもしれないが、行けそう、な気がしてきた。

小屋からみたコスミック岩稜

小屋からみたコスミック岩稜

 7:00 どんぶりで出てくる飲み物、パン、シリアル、チーズ。最後の朝食を思い切り食べる。

この朝食も今日が最後。

この朝食も今日が最後。

ゆっくり準備して9:00、小屋発。昨日、モディカで風邪をひいたこともあり、歩き出すと苦しい。取りつきに行ってみると、急に見えた斜面に、階段状にトレースがついていた。とっても楽だが、息が苦しい。風邪薬で喉が渇くのと、高所におり、また小屋が暖かいので寝ている間に脱水してしまうのだろう。足がつりそうになり、早々に給水させてもらう。相変わらずペースは上がらないが、ゆっくり登ってゆく。

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9:45、懸垂地点に到着。2ピッチ懸垂する。相変わらず懸垂は苦手だ。2回目の懸垂は狭い岩の間を空中懸垂スタート。「せまっ!ガリッ(スノーシューがすれる音)」田中さんが降りてゆく。私はザックを先に下ろさせてもらってから恐る恐る降りた。

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しばらく歩くと、噂のクランポン穴付きの岩が出てきた。乗り越すだけだが、失敗はできないのでロープを出してもらう。「意外と悪いですよ、しっかりつかめるガバはないです」との田中さんの評価。手袋を外し、とりあえずクランポン穴にアイゼンを指してみる。なるほど、快適な手はない。ゆっくり突破。

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ここを超えると今度は急な下り&登り。念のためロープをつけたままトップを行く。快適なテラスに到着し、ロープを回収しながら後続の二人を眺める。バックにはタキュル。赤茶けたコスミック陵に青空と雪が良く映える。

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左手にはボッソン氷河。クレバスが口を開けている。

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坂口さんがトップになり、偵察。「ここ、アイゼンでよく登られている感じだね」とクランポン穴がついたスラブを坂口さんが見つける。でも次は核心のチムニーのはず。先行パーティーがチムニーを登っているのが見えた、と田中さんも言う。このスラブが本来のルートだったのだが、クランポン穴部分はすでに通過したと思い込んでいたのと、チムニーへの不安が大きすぎて「チムニー、チムニー」と気が流行っていた。

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スラブを通りすぎると、チムニー的なところがあった。「なかなか悪そう」とのことで、坂口さんがカム フルセットを持ってトップを行く。入ってみると、確かに簡単ではない。が、しばらくモジモジしていたら抜けられた。田中さんも「せっま!」と言いながら抜けてくる。ビレー点からはグランドジョラスがよく見えた。

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正規ルートのスラブから上がってくるパーティーがおり、しばらく順番待ち。その後をついてゆくと、本当のチムニーがあった。ボッソン氷河の上にヘリが飛んできて、捜索をしている模様。小屋で出会った、モンブラン頂上を目指して行った二人組は無事だろうか。確かめるすべもないが、心配になる。

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チムニーは斜めった岩壁の間を歩くだけで、ガイドさんが言ったとおり難しくないのだが、首にロープをかけており、その上に乗せているアックスがやたら落ちてくる。ムーブを起こそうとするとアックスが落ちる。ただ、ガバガバなのでとても簡単ではある。「早く―」との坂口さんの声が聞こえるが、相変わらず2歩歩くと落ちてくるアックスと格闘。なんとか登りきると、そこが展望台直下の終了点だった。

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展望台に上がるハシゴがあるが、想像と大分違う。細い。そして不安定。怖いので、ロープとアックスをしっかりしまって、怖かったらハシゴにセルフを取るつもりで取りつく。これが一番の核心だった。ハシゴにセルフなんて意味ない。なぜならハシゴが金属疲労しており、とてもしなる。私が足を滑らせる確率より、ハシゴが折れる確率のほうが高い。ささっと登る。

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モンブラン遠征最後の登攀が終わった。「楽しかったー!」と私。「でも、時間かかりすぎじゃね?(笑)」と坂口さん。確かに坂口さんと田中さんだけだったら、フリーソロで行けるレベルのルート。でも、早く降りてもホテルのチェックインは16:00だし、14:00トップアウトはパーフェクトな時間設定だった、ということにしてもらおう。

モンブランをバックに。

モンブランをバックに。

しばらく景色を楽しみ、ケーブルカー乗り場へ。シャモニーに降り立つと、暑い。街の温度計は17℃を指していた。

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