日程:2023年7月30日 (日)
メンバー:L斉藤、吉居、江刺(記録)
タイム: 04:00中尾高原口バス停駐車場 – 06:20左方カンテ取付き – 12:40 TO – 13:00 下山開始 – 14:45 「注文」取付き – 17:15 駐車場
天候:晴れ
概要:
夏山合宿のトレーニングとして日帰りで行けるところを探し錫杖左方カンテへ行くことになった。私にとっては初めての錫杖で、本チャンデビューだった。
前日のうちに移動して仮眠、3時に起床。すぐに中尾高原口バス停の駐車場へ移動して準備。合宿本番を想定してギア合わせをした。
4時ちょうどに出発。まだ暗い中、ヘッデンで進む。夜露のせいか、登山道の岩が濡れて滑る。気温は20度くらいのはずが、ジメジメしていてとても暑く感じた。
登山道は意外と荒れていて、ブッシュに覆われて歩きづらい。5:20テン場の手前で前衛フェースが見えてきた。ちょうど朝日が差し込んでカッコいい。
テン場を越えた沢で休憩して取付へと登る。6:20左方カンテ取付きに到着。他のパーティの声が聞こえたが、1ルンゼの方だったようで左方カンテはまだ誰も取り付いていなかった。不要な荷物は取付きにデポして、6:50登り始め。
最初の2ピッチはルンゼのⅢ、Ⅳ、吉居さんリードで登る。木にスリングがかかった終了点を使用。フリーとは違った緊張感と高度感で私はビビりながら登った。
3ピッチ目Ⅴ、出だしのピナクルを回り込んだ後、細かく難しいところで吉居さんが苦戦して斉藤さんにリード交代。斉藤さんは難なく登っていく。私がフォローで続くも上がれず、斉藤さんが伸ばしてくれていたお助けスリングを掴んで登る。
スラブ状フェースの後、20mほど歩き、Ⅳ+のチムニーへ。ここまでピッチを切らずに一気に登った。チムニーはザックが引っ掛かりとても登りづらい。4ピッチ目Ⅳ+、チムニーの後、左側のフェースを登る。ところどころ細かいが、探せばしっかりガバがあって気持ちよく登れた。
ここで大テラスに出る。振り返ればかなりの高度感で、青空をバックに西穂がハッキリと見えて良い。
5ピッチ目核心のⅤ+、出だしがかぶった凹角になっている。以前は立ち木があってそれを使って登ったというが、今は根本しか残っていなかった。手が届くところにペツルがあるので1ピン目をかけて斉藤さんリード。私にはとても出来そうにないムーブで登って行った。フォローで私が追いかけるが、1ピン目のヌンチャクを掴んでも上のガバに手が届かず登れない。スリングであぶみを作り足を乗せて、吉居さんにフォローしてもらいながらなんとか上がった。出だしの木がなくなったことでⅤ+よりは難しくなっているよう。斉藤さん曰く、5.11くらいのムーブというが、リーチがある人ならもう少し簡単に登れるのかもしれない。上部もクラックと細かいフェースで少し難しかった。
6ピッチ目Ⅳ+のスラブ。最近のフリーでスラブに自信をつけたこともあって、余裕を持って登れた。スラブは下部だけで後半は草付きフェースを登って最終ピッチへ。
7ピッチ目、トポにⅢ、ルンゼから短いフェース40mとあったが、ロープが要らないくらいで意外と短かった。12:40にトップアウト。
天気がよく、日差しは当たるものの適度に風が吹いて快適、岩のコンデイションも最高。何より他のパーティがいない完全貸切で、自分たちのペースで登れたことが良かった。
少し休んで13時に下山開始。懸垂を繰り返しながら大テラスまで降りる。私は何ピッチも懸垂下降を繰り返したことがなかったので、どのように降りたら引っかからずにロープが引けるのかなど、注意すべき点を確認できて良かった。大テラスで「注文の多い料理店」ルートから登ってきた1パーティと出会う。大テラスから「注文」側へまた懸垂。途中で1回切って、14:45に「注文」の取付きまで下り立った。
その後、左方カンテの取付きに荷物を取りに戻り、登山道を下山。17:15に駐車場に戻った。
私にとって初めての本チャンだったがコンディションに恵まれてとても楽しい経験になった。全ピッチフォローで、2回のA0はあったもののザックを背負っても比較的安定して登ることができたのは自信になった。プロテクションの取り方やマルチピッチでの連続した懸垂のやり方なども勉強になったので、今回の経験を本番で活かしていきたい。