越百山・仙涯嶺 日程:2017年2月25日(土)・26(日) メンバー:L武田(記)・嶌村
タイム:2月25日 6:30伊那川ダム上駐車場~ 7:30福栃橋~8:30下の水場~9:20上のコル~11:00水場分岐~14:45越百小屋~15:50越百山前ピーク幕営
2月26日 6:40幕営地~7:20越百山~9:00仙涯嶺~11:15越百山~11:50幕営地~12:50越百小屋~13:35上の水場~15:00下のコル~15:30福栃橋~16:20駐車場
以前、「冬の越百山はトレーニングにちょうどいいよ」と教えてもらった。夏に歩荷トレーニングで来たこともあり、様子もわかる。せっかく2日間あるので、越百山から南駒をめざす計画としたが、仙涯嶺から先は大変だよとご教授いただく。自分の技術と体力では仙涯嶺まで行くのがやっとかな。
お互い仕事が遅くなり、23:20長久手出発、1:00頃大桑の道の駅に到着し車中で仮眠。
5:00起床し、5:30頃出発。6:00頃に伊奈川ダム上の駐車場に着くと、すでに車が2台。まだ辺りは暗いので、ゆるゆる準備をしていると、なにわナンバーの車から男性ふたり。富士山ナンバーのおひとりはまだ眠っている様子。うるさくならないように気を付ける。
6:30だいぶ明るくなってきたので、歩き始める。林道がつるつるに凍っているので、少し雪がついているところを探して歩く。こんなところで転んで怪我をしたらおもしろくない。林道終点の福栃橋で休憩。自分のザックの腰ベルト、夏合宿のときに壊れたので修理したが、ここでまた割れた。「なんで!」と腹をたてるが仕方ない。テーピングで補強してごまかす。大阪の男性ふたりパーティがみえたので、先に行っていただく。
九十九折の道は楽にいけるかと思っていたが、ところどころ凍っていて意外に歩きにくい。下の水場で休憩してちょっと上に行ったところで先行していた大阪の方々がアイゼンをつけていた。先がわからないので、少し上の広い場所で我々もアイゼンをつける。トレースが残っており、しばらくまちがうことはない。交互に前を歩く。
幕営装備を背負っての山歩きをあまりしたことがない。フライ・本体・コッファーと食料は自分、ポール、ロープ、燃料を嶌村さんが持つ。20kgに満たない装備だが、つらい。体力のなさを痛感する。雪が深く、足が沈む。ぐずぐず歩いていると、富士山ナンバーの単独の男性が軽々と歩いていく。聞くと日帰りだそう。それにしても軽快だ。
踏み抜く回数が増えていくので、上のコルを越したあたりで観念してワカン装着。アイゼン+ワカンの歩行は重いが、安心。表面はクラストしているが、なかはさっくりしている雪の斜面は踏んでも踏んでも固まらず、足場ができない。いろんな雪があるのだなと思った。単独の男性のトレースを追っていく。忍者のように軽い足跡をたどるが、荷物が重いせいもあってか深く踏み抜く。
上の水場からは最高のトレーニングだった。延々と続く急斜面を延々と登る。一歩一歩蹴りこむが、ふかふかの雪で滑り落ちる。一歩歩いて二歩下がっているんじゃないかと思う。20m進んで、休憩。その繰返し。大阪のおふたりの姿がちらちら上に見えているので、しんどいのは自分だけでないと少し安心する。
直登が終わるとモナカのようなちょっと嫌なトラバース。先行する大阪パーティのおひとりはスノーシューをはいており、何度も踏みならすことできれいに道をつくっていた。
越百小屋で小休止。単独の男性が越百山を登りここで合流。どうも愛知在住の方だったようだ。しばらくしていると大阪の方々も到着。今日の越百山は5人だけ。やっぱりこういう静かなところは好きだ。大阪の方々は御在所にもよくみえるようなので、また会えると嬉しいなと思う。
単独の方は下山、大阪のパーティは越百小屋を掘り出すか、ダメならここで幕営するとのこと。結構疲れていたのでそれも魅力的だったが、できればもう少し先に進んでおきたい。後ろ髪をひかれつつ、越百小屋をあとにした。1時間ほど歩き、越百山手前の斜面によい場所をみつけ幕営地とする。
テント生活に慣れていないため、これもよい練習になったと思う。設営し、ザックの荷物をまとめ、雪を切り出し水を作る。嶌村さんは道っ端の雪を平気で使おうとするが、思い出した。以前、鹿島槍で嶌村さんと一緒だった皆がおなかを壊したことを。静止してちょっと離れたところで雪を切り出す。
エッセンし、呑む。標高が高いためもあってか、アルコールが少しでも十分。少し外に出ると、ヘッデンに照らされた雪が星みたいにキラキラしている。こういうのは初めてみた。ゆっくり呑んで21:00頃就寝。
22:30頃すっきり目が覚めてしまい、その後寒さで眠れない。
うとうとしていただけのつもりがうっかり起床時間を過ぎる。水を作るには足りなそうだったので、また雪を切り出す。体を動かしていればあたたかい。朝の気温は-10℃ほどだった。風もなく、ピンクにそまった空がきれい。
ちょっと時間がおしている。12:00までには越百山に戻る予定。幕営装備はデポし、夏道で3時間の行程なので行けるはずと思うが、気持ちは焦る。テントをつぶしてフライをとり、いざというときのツェルト代わりに持参することにする。前日と比べて背中が軽い。
越百山直下の斜面は固く、少し緊張した。下りにはロープがいるかなと話しながらゆっくり登る。荷物が軽いにも関わらず、息がきれるし苦しい。ただ、夏に歩荷で来たときと比べて視界がクリアで本当にきれいだった。
7:20越百山。久しぶりに稜線を歩けるのかと思うと嬉しい。風紋が芸術的だし、大きな雪の結晶が太陽の光に反射して幻想的。
前日と違って踏み抜く箇所は多くなく、ウエハースを踏んでいるようで楽しい。エビの尻尾のつき方もそれぞれ個性的で美しい。
9:00仙涯嶺。南駒への道が見える。格好いいが、また次回とする。仙涯嶺直下で念のためロープを出し、しばらくコンテで歩く。安心感が違う。
ちょっと心配だった越百山直下の下りは、思っていたより簡単だった。予定通り12:00前には越百山、幕営地に到着し、撤収。大阪の方たちが残したトレースで、ワカンがなくても快適に歩ける。
登るときには一所懸命でいただけだったが、下りってみて、「よくこんなとこ登ってきたな」と実感した。トレーニングには良いという理由がわかった。雪があるときにまた来たいと思う。
だらだらした九十九折の道に飽きたころ、林道終点に到着。荷物が重いと膝に来るということを初めて経験した。福栃橋はスケートリンクのように凍っており、見事に滑って転んだ。林道も相変わらずつるつる。アイゼンを付けるほどではないので、そのまま歩いたが、つけていてもよかったかもしれない。
16:20駐車場。もうだれもいなかった。
そしてだれもいなくなった。