笠ヶ岳(2897.6m)
2016年7月24日(日)
メンバー L馬場
タイム
4:00新中尾温泉口バス停駐車場(974m)(4:00)-錫杖分岐(5:30)-クリヤノ頭(8:50)-雷鳥岩(9:45)-笠ヶ岳山頂(2897.6m)(12:00)-下山開始(12:20)-錫杖分岐(16:45)集合待ち合わせ-下山(19:30)
前夜に錫杖登攀パーティと一緒に槍見駐車場へ入り夏合宿のビバークを想定して久しぶりにツエルトを設営して就寝する。朝3:30起床して撤収して4:00に単独で駐車場を発つ。まだ真っ暗で登りなれた登山道とはいえ少し怖い。ラジオも持参したが、とりあえず鈴をつけて登山口より登る。
それにしても登山靴のフリクションが悪い。夜露にぬれた岩で滑ってしまう。ソールが硬くて地面を踏んでいる感覚に乏しくクッション性が悪く硬いがために膝に負担がかかる。つま先に安全靴のような硬いものが入っていて指にも優しくないダメ靴である。いつものアプローチシューズにしたかったがそれを酷使すると夏合宿までに履き潰してしまいそうだったのであえて条件の悪い靴で自主トレすることにした。
錫杖沢を慎重に渡渉し登っていくうちに空が白み錫杖岳への分岐についた(5:30)。前日の土曜日から入っている田中パーティに聞こえるように「アンバヨー」と叫びたかったが朝が早すぎするため我慢した。それにしても分岐まで暗かったとはいえ1時間半もかかるとは山登り筋力がかなり弱っている。登山として今年に入って越百山の1座しか登っていないので当たり前だ。
岩小屋のある沢で1本休憩し、また延々と登り、そろそろもう1本休憩を入れようと思い広い場所を探すがよさそうなところがなくそのまま登り続けると熊笹が生い茂る足元の見えない悪い道となり、ブヨが大量に舞って顔になんどもアタックしてきた。これはたまらない!でも虫除けはザックの中で少しでも立ち止まるとあっと言う間にブヨに襲い掛かられる。水場につきブヨを息と手で振り払いながらハッカ油をふりかけてももう遅いどころかハッカ油をものともしないツワモノのヤブだ。熊笹のあたりは急登らしいがまったく気にならなかった。逃げて逃げて逃げることに必死。
しばらくしてクリヤノ頭が見え始め、あたりは私でもわかるニッコウキスゲがたくさん咲いていた。他にも花がたくさん咲きほこり、花を愛でるにはいい山だなとは思った。クリヤノ頭は登れるのか?冬は登っているのを聞いたことがあり、踏み跡もある。クリヤノ頭を見つめていたら真下まで登ってしまい行き詰った。そのまま岩をまくようにクリヤノ頭にでる踏み跡もあり稜線のハイマツ漕ぎもできたかもしれないが百名山の笠ヶ岳でこんな悪い夏道はない!よく見ると下にトラバース上に続く登山道を発見。しぶしぶ草付き岩とザレた場所をクライムダウンする。40分ぐらいのタイムロスだ。
クリヤノ頭から山頂までたった460mほどしかないのに、ここからのトラバースが長い。そのうえ雲っていて景色は何も見えずただひたすら歩くのみ。穂高を眺めながら歩く予定だったのに、仕方なく今日は訓練のみに徹する。
笠ヶ岳の計画予定は標高差1900mなので普段なら休憩を入れて1時間350m登れるとして距離が長いからプラスアルファで6時間半程度。下りは登りの3分の2で4時間程度の想定。しかし今の体力を加味して、登り7時間半で下りは4時間半の予定。下山タイムリミットを17時ぐらいとして山頂は12時までとした。
クリヤノ頭からは長いトラバースのため時間ばかり食ってしまい、いっこうに標高は稼げない。雷鳥岩をすぎたが、まだまだ山頂が遠くて時間だけが気になる。なんとしても12時には山頂につきたい。三の沢や四の沢を右手にみてかっこよくてワクワクする。それぐらいしか景色は見えないが一瞬だけ山頂らしきものが見えた。
12時までに間に合うか?葛藤しつつ足を速め、大きなガレた岩を登りなんとかギリギリの12時登頂だ。
ほとんど人には会っていないがたまたま小屋の宿泊者が山頂に居て、写真だけ撮ってもらい、行動食を口にほり込みながら靴紐をしめなして12:20分に山頂をあとにする。
靴にあたる足が痛い。体もフリークライマー化していて足取りが悪くて弱っているのを実感する。スポーツなんて皆無の生き方をしてきたことを悔やんでも仕方なく、継続しないとすぐに衰える弱いボディだ。クリヤノ頭をすぎ、広いところで頭と顔と首にスカーフをぐるぐる巻きにしてハッカオイルをかけて熊笹に備える。いったんつっこむと休憩すらできない。
17時まにで錫杖分岐に着けば錫杖パーティに合流できるかもしれないと足を急ぐ。16:45に登山道から錫杖分岐の沢のほうをみると人が居る!「アンバヨーーーー」とコールすると浅野さんや内田さんたちは他のパーティが帰ってくるのをそこで待機していた。
私も合流し痛い靴を脱いでゆっくり休憩した。日没がすぎても最後のパーティが戻ってこず、闇となる前に半分は先に下山開始。新中尾温泉口に19:30となりあたりは暗くなっていた。
今回の自分の課題とミッションは現在の体力測定。想定した時間で行動できるか?間違えたぶんを入れて標高差2000mほどとなりその分のロスをいれて登り8時間、下り5時間の読みでほぼ合っていた。
12時間以上行動も課題クリア。一番楽しみにしていた珈琲を飲みながら滝谷を見るミッションのために尾根と沢のルートの線引きした地形図とメガネを持ってきたのにまったく見えなくてガッカリした。
翌日は激しい筋肉痛と大量のブヨに噛まれてお岩さんのように腫れあがった瞼に悶絶だったことは言うまでもない。クリヤ谷からの笠ヶ岳はもう行きたくない。