愛知県山岳連盟雪上講習会(大日ヶ岳)
2019年3月9日(土)~10日(日)
メンバー:坂口・田中・武田(記録)・太田・近藤・濱田・(指導員:有冨・多田)
タイム:
1日目:7:30高鷲スノーパーク受付-15:00終了(-16:00スノーマウント作り)
2日目:7:00講習会開始-12:00講習会終了
概要: 会全体の雪上技術向上と事故の未然防止として、今年も愛知県山岳連盟雪上講習会(Bコース)に参加した。B1グループに坂口・田中・太田、B2グループに武田・近藤・濱田と別れ、それぞれ受講する。有冨・多田はAグループの指導員として参加。それぞれのグループに学びがあり、技術向上だけでなく、安全意識も高まったと思う。
7:00頃に当日着の田中・太田と受付前で合流。ゴンドラに乗り、終点から10分ほど歩いた会場に到着。ビバークの希望としていたが、テントを設置し準備する。
開会後、グループごとに別れる。翌日の予報が午後から雨であるため、できるだけ初日にいろいろ吸収したい。B2グループでは、要綱に沿いつつもできるだけ受講者の希望や意見を聞いて講習を行うとありがたいお申し出をいただき、遠慮なくお願いしていく。
1日目(晴天)
①幕営地の選び方・テント設置時の注意点
地形・木の生え方・雪面の光り方を確認し、風裏を選んで設置すること。また設置時には除雪のための通路・フライの張り方(酸欠防止)に注意することを理解する。
②フィックスロープの通過・支点構築
近藤が指名され、雪上での支点構築(灌木・スノーバー)とフィックスロープをはる。
作成された支点について、講義いただく。その後、ユマールを用いた登り方、支点の通過をそれぞれ行うが取り扱いに不慣れなため、とまどう。複数人での山行でのフィックスロープとユマールの効果を認識できた。
その後、竹ペグ・土嚢の支点を作り、強度を確認する。竹ペグ1枚では強度が足りず、抜けてしまうが、2枚溝を掘って連結させることでかなり強度があがった。土嚢懸垂はかなり強度があることと、締め方を教えていただいた。でも、実際は怖いんだろうなと思う。
③コンティニュアスクライミング
各自の理解と現場での判断が必要であるため、教えるのが難しいとのことだったが安全に歩くための技術として状況に応じたコンテ方法(東京方式・大阪方式・ヒマラヤ方式・ガイドコンテ)をそれぞれ練習。実際にやってみることで、一長一短知ることができた。また、とっさに行動するには落ち着くことと、滑落者からの合図が必要であることもよくわかった。
④コンテからの自己脱出
大阪方式でのコンテからフォローの滑落を想定しそれぞれ自己脱出を試みる。荷重がかかった状態で片手でプルージックを作ることにかなり苦労する。普段のギアの付け方もに工夫が必要だと感じた。ここでもユマールが有効であることを教えていただいた。
⑤ピッケル以外での滑落停止技術
ピッケルを手にしていない状態、ストックを使用している状態での滑落停止を練習した。残念ながら雪質の影響であまり滑らず練習ができなかった。また別の機会にやってみようと思った。
翌日が雨天予報だったため、できるだけ吸収したいと時間ちょっとすぎまで。一旦解散したあと、スノーマウントを作っていると聞きすぐにそちらに向かう。しっかりしたプラトーの上に数人のザックを置きツェルトをかぶせて雪を積んでいく。
積むごとに圧雪される。その後入口をあけ、ザックを抜き出す。ザックがすべて取り出されたあとは中を掘り広げるが、四角で大きなスコップがやはり便利だ。ほしくなった。交代で掘り出し、複数人が入れるくらいには広がったが、天井からすこし明かりが漏れる。大丈夫なのかな、とちょっと心配になる。
スノーマウントもできて満足したので、テントに入る。当日のエッセンは近藤くん。評判の鳥鍋とのことで楽しみ。本当はビバーク、水も作るつもりで来たが、スノーマウントも作ったしよしとする。ゴンドラ降り場にトイレがあるので、トイレに行きがてら水を調達することにする。坂口・近藤と8L分の水筒を1つのザックに入れて持っていくが、いいだしっぺの自分がじゃんけんで負けて持ち上げた。
宴会し、外にでると同じグループのUさんがスノーマウントにいた。せっかく作ったし、興味もあったので二人でそちらで寝ることにする。入口にツェルトをつるして風対策。マットとロープを敷き、ツェルトを頭のほうにくしゃくしゃにして広げる。テントの布一枚だけでも下からの冷気をかなり遮断するなと実感。また入口に向いていた足がすごく冷たい。ときどき上から雪がおちてくるので、びっくりして目が覚める。寒かったが、よい経験をさせていただいた。案外眠れた。靴が凍った。
2日目(曇りのち雨)
会のテントの朝ごはんに間に合うように起床。棒ラーメンは、やはり予備食だと話しながら楽しく食べる。食料担当の近藤くんに感謝。
①全体:雪の状況について講習と弱層テスト
雪崩が起きる地形と天候、雪の状態について学ぶ。撤退の判断について考えることができた。
②弱層について
斜面にプローブを差し、そこで感じた弱層と、踏んだときの沈み具合の感覚を知る。プローブで各自が弱層を感じることができた。弱層テストを行わないまでも、状況に応じてプローブで確認することが必要。
③埋没者の捜索
いままで埋没体験したことがない近藤・自分と他会の男の子が実際に埋まってみた。近藤は穴を掘りながら「借金取りに自分の墓穴を掘らされている気分」とポツリ。
さんざん脅かされるので怖い。ここでも順番をじゃんけん。また自分が負ける。実際に埋まってみると、ほんの10cmの雪でも全く動くことができない。上からの声は聞こえるが、埋没者の声は(あまり)聞こえない。また、プローブで刺したときの埋没者の感覚を知ることができた。
④スタンディングアックスビレイと自己脱出
コンテの復習をしようかという話もあったが、濱田さんの希望でスタンディングアックスビレイと、自己脱出を行う。Uさんが習得してきたという手法でやってみようと試みるが、負担があまりにも大きくロープ操作ができない。いろいろな方法を試してみた。ただ、女性だからできない、ではどうにもならない。別の方法を指導員の方に教えてもらい、なんとかできた。その後はムンターを使ったシステムを作る。頭では理解できても、体の使い方がまずいと全く動くことができない。また機会をみて練習しようと思った。
⑤ビーコン操作
ここまで全くビーコン操作を行っていなかったので、ビーコンを隠してもらい探索する。ここでビーコンの性能がよくわかった。
閉会
予報通り雨が降り出したため、12:00に閉会。
スノーマウントの強度チェック
埋没体験に使用した穴や、スノーマウントを埋める。スノーマウントは上からのってもなかなか崩れず、びっくりした。
感想
予定よりも時間が短かったとはいえ、学びの多い2日間だった。知らないことを知るだけでなく、知っているつもりでわかっていないこと、わかっていてもできていないことを認識することができた。事故の記憶や反省は時間が経過すると少し薄れていく。これを防ぐためには各自の技術・知識の向上とそこからの判断力を磨くことが必要だとつくづく感じた。今回学んだことから事故を起こさないためになにができるか、どうするべきかを認識しなおすことができたと思う。担当してくださった指導員の皆様に感謝します。また、同じグループの他会の方々からもいろいろと教えていただいた。このグループで活動できたことが本当にうれしく、楽しい2日間でした。
これからもこのような講習には積極的に参加し、自分のできる範囲のよい山行をしていきたいと思う。