2014年9月13-15日

谷川岳

13日(土)一ノ倉沢 衝立岩中央稜
14日(日)一ノ倉沢 烏帽子沢奥壁南壁

メンバー L田中、馬場 晴れ時々曇り、夕方から雨

    晴れ雨のち晴れ時々曇り

10628416_704432956300041_574074132022204367_n 9月13日(土) 04:30 谷川岳ロープウェイ駐車場 発 05:05 一ノ倉沢 着幕営地を探し、設営する。幕営適地がわからず、通りかかった水戸山岳会の方に教えてもらう。友人パーティともばったり出会う。
06:20 一ノ倉沢出合 発沢を上り、右岸(左側)に沢を巻く。分かれ道を上ってしまい若干のタイムロス。沢にそって登るのが正解。
しばらくすると道なりに沢にもどり、ヒョングリの滝の手前を右岸へ巻き上る。
07:20 懸垂地点そのまま登山道をすすむと、フィクスロープのはった泥と草付きの壁を40メートルほど懸垂する。
先行者がいて待ち時間があったので、ロープを出すが、フィクスをつかってのクライムダウンでも大丈夫だ。懸垂すればテールリッジの末端となる。
テールリッジはきれいなツルツルのスラブで至る所にフィクスロープやスリングがついてあり、リングやハーケンも多数うってあった。非常に悪い。
つま先がしっかりフリクションの効く登山靴にすればよかったかなぁと感じた。
これでテールリッジが濡れたら怖いなぁと思っていたのが帰るころには現実となってしまった。

08:45 中央稜 取り付き 着全9ピッチあり、奇数を馬場 偶数を田中が担当
09:10 登攀スタート 1ピッチ:4級:馬場テールリッジを登りつめたところから階段状の部分を登るが4級には感じない易しさだ。
安定したバンドで終了。
2ピッチ:2級:田中これが2級とは?左側へトラバースし凹角からフェースへ抜ける。
岩はどれもグラグラしている。
3ピッチ:3級:馬場グレーディング以上の怖さである。カンテを右に回り込むが気持ち悪さでA0に手が伸びそうになるがフリーで抜ける。
日々のフリートレーニングでのムーブのおかげだ。凹角からフェースで稜線を登る。腐ったハーケンが若干あるぐらいでカムではランニングが取れない。やってはいけないランナウトが怖い。 4ピッチ:5級-:田中核心をフリーでぬける。
5ピッチ:3級:馬場 40メートルはロープが重い。凹角草付きを登り、ピナクルと稜線の間に挟まれてビレイ点となる。
6ピッチ:3級+:田中快適な絶景がおがめるフェースビレイ点から空をみあげるとスカイラインのシルエットが綺麗にみえる。
7ピッチ:3級:馬場岩は湿気ているが岩は安定してくる。稜線の左側凹角を回りこむ。
8ピッチ:3級:田中問題なし左側から稜線中央まで。
9ピッチ:2級:フリーロープを解いて草付きをフリーで登る。
13:55 登攀終了 3時間45分かかってしまった。

14:10 懸垂開始 1ピッチ目、ロープ回収するのにかなり重くて苦労する。
2ピッチ目、屈折したところを一気に降りてきたので、気にはなったが安易に考えていたら回収でロープをスタックさせていまい、田中が登り返した。ここにきて登り返しは辛いです。感謝!あとは二人目が降りるとき、結び目を岩の角や隙間を越えた部分までずらすなど注意しながら懸垂した。
懸垂しているとテールリッジから要救の声か聞こえたが、そこまで行くのに数時間かかる。
なんとか自分の足で下山したのを確認したが、どうしたのだろう?自分たちも安全に降りなければいけないと強く思った。
16:40 取り付き 着登り返しもあってかなり時間がかかった。撤収作業をする。
17:00 下山開始下りのテールリッジは手ごわい。疲れている、要救者をみたってことも加算され慎重度が増す。
ゆっくりいってもギリギリ明るい時間にはつくだろうとたかをくくってたら、クライムダウンをしたりフィクスを使ったり思いのほか時間がかかってしまった。
テールリッジの末端が見え始めたころ、日が暮れ始め、おまけに雨まで降りだした。
末端部分もホールド足場もなくツルツルの岩場をフィクスをたよりに薄暗いなか降りる。
ヒョングリの滝上の泥と草付きを登り、とりあえずは胸をなでおろし、ライトアップする。
巻き道が終わると岩場となり踏みあとがなく、道を見失いかける。
スマホGPSに地形図を登録してきているので、「確認しようか?」と声をかけるが無視される。どうやら、山屋が電子道具ありきはありえない、頼る必要はないと無言の返事だ。
たのもしい。 暗いなか登ってきたルートをちゃんとみつけて先に進む。
河原にはいり、もう一度巻き道の右岸にはいり、最後は河原にでてすぐに出合となる。
19:30 一ノ倉沢出合 着お疲れ様でした。
夕闇のテールリッジを下っているときは「明日はやめて、グダグダと呑んで過ごしたいと思ったが、ヒョングリの滝を巻いたあたりから疲れ慣れしてしまって、明日もがんばろう!」でも、ヨタヨタでアプローチはきっと鈍いだろうなぉと思いつつ鼻歌気分でした。
幕営地に戻ると、お隣の水戸山岳会の方が「心配したぞー!さぁ、食べて!」と、釣った岩魚をご馳走してくれた。
待ちくたびれたように燻製化していたが、とても美味しかった。
日本酒で無事の帰還と完登に祝杯をあげ、シチューハンバーグライスとポテトサラダとわかめ味噌汁を食べて、早々に睡魔に襲われる。
だって前日は2時間睡眠だったから・・・
21:00 就寝 10635802_704433209633349_8650517505165415295_n10590681_704433189633351_2010668381278600871_n

04:00 起床

04:55 出合 発まだ暗いがライトはいらない。
今日はきっといい天気。高気圧バーン!スカーっと晴れるはず!と、思ったら、ヒョングリの滝のあたりから雨が降り始める。いや、夕立の朝バージョンでそのうち晴れる! でも、チムニーあたりは濡れてしまうかなと思うぐらい本降りとなってきた。それなのに、空は青い。 一ノ倉沢にダブルアーチの虹がかかる。

今日の予定は烏帽子岩中央カンテの11ピッチだ。
この雨とアプローチの悪さ、登攀と懸垂に思いのほか時間がかかることを考えたら、烏帽子岩南陵に変更しようということになった。
濡れたテールリッジは前日でよれた私には辛く、笑ってしまえるほどツルリンと寝そべってしまう場面もあった。そのうえ、靴が死亡寸前。アプローチからすでにクライミング体制の歩きとなり、つま先を酷使したらソールが剥がれてきた。
ガバっと剥がれてからでは遅いので細引きとテーピングで補強する。
昨日の中央稜とりつきから南陵へのバンドが悪い。
切り立った岩場をフィクスロープなしでトラバースする。かなり緊張する。

08:00 南陵テラス 着 企画者であるリーダーに核心部分をゆずり、奇数ピッチが田中、偶数が馬場とする。
08:30 登攀開始 1ピッチ:4級:田中右の凹角からカンテに回り込むときが一瞬いやらしい。その上のチムニーは一歩目だけヨイショっと突っ張って体を持ち上げたらホールドも多く、岩も固くて安定したルートである。
2ピッチ:4級:馬場もう、アプローチでよれよれなのにスイッチが切り替わるから不思議です。好きなタイプのバランスフェースでガバばっかりであるが、カムもナッツも決められるような箇所がない。ボロボロの危ういハーケンがあるが信用ならない。
ランナウトしていることがわかっているだけに、慎重に確実なホールドを探す。
フリーならなんてことのないルートなのに落ちたら、良くて足1本、悪くて半身やられて、最悪のことも考えるとじっくり登らざる負えない。
3ピッチ:2級:歩き
4ピッチ&5ピッチ:3級:田中頭上に大きなハング岩があるから「直登して」とお願いするが拒否される(笑)ハングを左に巻いて稜線にでる。
5ピッチ:4級:馬場ルート取りがよくわからない。
綺麗な馬の背リッジを登るか?それにしてはこんだけ連打されているハーケンが見当たらない。ルンゼとの間の凹角ラインか?悩んだ末に、そちら側にハーケンが見えたので湿気たほうを登る。 苔がいっぱい生えてて悪い。
何もとらないよりマシ!岩の突起にスリングをかけたり、小さな割れ目に危ういカムをきめる。それでもランナウトしている。さらに凹角からカンテからリッジに回り込むのに肝を冷やした。ビレイ点について上から見下ろすとリッジを登ったほうがよかったのでは?と思うぐらい階段状になっていた。でも、リッジもランニングがとれるところがないように見えた。
6ピッチ:5級:田中核心となる。登りやすいフェースクライミングだ。
まっすぐ立っている岩のほうが落ちても激突の確立が低いから安心して楽しめる。

12:00 登攀終了二日間の成功を祝い固く握手
12:10 懸垂開始さっさと降りよう。
13:50 懸垂終了下山開始南陵から衝立へのバンドが悪い。ここでは落ちたくない。
17:00 出合 着 明るいうちに幕営地に戻れた!五臓六腑に染み渡るビールで祝杯をあげ無事に怪我もせず、完登したことを喜ぶ。
夕飯はペペロンチーノとジャガ餅そして、水戸山岳会のみなさんに混ぜてもらい焚火を囲みつつ山を語り、天の川が瞬く谷川の夜は更けていきました。

15日(月) 06:00 何時まででも朝寝坊していいのに、クライマーのガチャの音、朝陽で目が覚めてしまい、馬場ひとりテントを抜け出しお散歩朝陽をあびていると満身創痍なのに今日も行ける気がするからモチベーションって怖い。出合でひとり引き返してきたクライマーと話込んでいたら、土曜に会った友人とまた出合で出会った。
いろんな人に出会い、語り、素敵な日々をすごした谷川ともお別れの時間です。
テントに戻ると田中も起きてきて、朝食の支度をする。
お隣さんの横浜カタツムリさんも起きてきた。彼らも昨夜は夜の帰還だったため最終日はまったり過ごすことにしたらしい。
彼らと田中は冬の北鎌で一緒だったことがわかった。出会いありですね。ほんとに・・・

08:55 一ノ倉沢 発
09:45 駐車場 着

馬場 所感私にとって、ばててないのに歩けないってことが一番の鬼門ですね。
それでも、全身筋肉痛で二日間山行は記憶にないぐらい前なので取り合えずがんばったことにしましょう。
アプローチの悪さ、ルートの脆さ、錆びたハーケンだらけ、ランナウトに屈折ルートアルパインの総合力を試されているような山でした。
絶対にやっちゃいけないことも、絶対に落ちない気力で騙しだましに登ることも多かったです。普通なら落ちるはずのないグレーディングであっても、手にした岩が乗った岩がいつ剥がれるか、大丈夫かのせめぎあいでした。
山と頼もしい仲間にいい経験をさせてもらいました。ありがとうございました。

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