北岳バットレスDガリー奥壁

 

日程:9月24日~25日

メンバー:L丹羽大輔(記録) 田中悠太 福井菊美

タイム:24日 広河原6:50~白根御池小屋8:30~Bガリー大滝10:00~B・Cガリー中間稜(幕営)12:00

    25日 幕営地4:50~Dガリー大滝上部5:30~Dガリー奥壁登攀開始7:00~終了点9:30~稜線10:00~二俣11:30~広河原12:30 

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24日

前夜発。芦安に0時30分位に到着。仮眠の後、朝一の5時のバスに乗る。広河原は朝イチのバスで到着するとトイレが激混み。橋を渡って小屋のトイレにいくと空いていることを内田さんから教えて頂いた。私は何回も来ているのに、そこに小屋があること気にしていなかった。

6時50分、薄曇りの中歩き出す。最新の天気予報によると初日はあまり天候が良くないようだった。悪天候で登れないかもしれないとテンションが下がったので、ヤケ酒を買いに行くために白根御池小屋経由でアプローチする。尚、内田リーダー率いる四尾根隊と一緒に行動することにした。

白根御池小屋には8時半に到着。小屋の中にはテレビがあり、天気予報や雨雲レーダーが放送されていた。雨雲レーダーによると、だんだん雨が近づいてきているようで、あと2時間もすると降りそうだった。ただ、この段階では天気は崩れていないので、下部岩壁だけは越えておこうということになり全員でBガリー大滝に向かう。

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丹羽・田中・福井の組が先に到着し、念のためロープを出して福井リードで登り出す頃、後続の内田・馬場コンビも遅れて到着し後に続いた。2ピッチで登り終えたが、やはりザイルは必要と感じなかった。Bガリー大滝の終了点で後続がなかなか上がって来ないので、座りながら昼寝をする。

大滝登攀が終了すると踏み跡を辿ってCガリーの方にトラバースをする。一旦、高度を上げてから尾根に移る。途中踏み跡がわかりづらい箇所がある。明瞭な踏み跡がCガリーとは反対方向に折れる箇所があるのだが、よく見ると道があるので気を付けたい。結局どこでビバークするか悩みながらここまで来たが、Cガリー左岸を少し下り、B・Cガリーの間の尾根上に2人用テント一張りなら快適そうなスペースを発見した。またその周りに、水没覚悟でツエルトが張れそうなスペースもあった。

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内田パーティはテントを担いで来ており、スペースに若干の余裕があるということから、福井さんはそちらに居候させていただくことになった。13:30幕営地を整えノンビリ過ごしていたら予報どおり雨が降り出し、その後夕方まで時折強く降り続けた。案の定、一番川下にいた丹羽は水没した。

 

25日 

 適度に濡れて寒かったせいか、あまり熟睡とはいかなかった。4時に起床して空を見上げると、薄曇りの天気に変わっていた。それでも夜中の0時頃はパラパラ雨が降っていたので、正直登攀は厳しいかと思ったが、内田隊と分かれひとまず岩場の取着きにいってみることにした。途中、バンドのトラバースが悪そうに見えたので、念のためザイルを出したが、なんてことなかった。Dガリー大滝上部に回り込むと、これから登攀しようとする下部フランケは、かなりビタビタと濡れた様子だった。

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やはりダメかと思ったが、Dガリー奥壁なら標高が高く内面登攀ではないことから、乾いているのではないかと思い、そこからDガリーを詰めていくことにする。Dガリー大滝上部からDガリー奥壁取り付きまでアプローチは1時間程度を慎重に進む。Ⅲ級程度の岩場がずっと続くことからクライミングシューズに履き替えるが、Bガリー大滝がずっと長い感じで高度感もある。不安がある人と来た場合、確保が必要になるだろう。

 

Dガリー奥壁

1p目 丹羽 Ⅴ+ ハングからクラック

いきなり核心。出だしはガバを持ってハングを越えるのだが、左寄りか右寄りかでラインを悩んだ。どちらにせよハイステップで越える。

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3段目のハングも右手の右上のガバを発見するまで、悩んだがわかれば問題はなかった。

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その後のスラブに走るクラックが怖かった。意外に悪い。また小さなバンドで切れば良かったのだが、明確なビレイ点がなかったことから少し余分に伸ばした結果、小ハング手前の残置ハーケン2個+カムのハンギングビレイとなってしまった。この支点に3人がハンギングビレイだと厳しいかもしれないので福井さんにはバンドまでにしてもらった。30m

 

2p目 田中 Ⅴ スラブ

 小ハングは残置スリングやカムが残されていたが、それ程難しくない。

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その後のスラブが細かく、ハングを越えてから右に逃げるようにトラバースしたが、全員がハーケンを踏むA0となる。また残置ハーケンを辿る直上ラインは難しそうだった。ハイマツでピッチを切る。20m

 

3p目 福井 Ⅳ スラブからチムニー

 20mのスラブからチムニーに突入。

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抜けると城塞ハング。

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第四尾根を登って来られたペアと合流。快適。

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4p目 福井 Ⅳ チムニー

 第四尾根のパーティと交渉した結果、先に登る権利を取得したので福井さんリード越える。

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10mのチムニー。左側の壁を上手に使うと快適。ハイマツで切って終了。

 

短かったが登り応えはあった。片づけをして稜線を目指すが先程から気になることがあった。第四尾根に向かった内田隊の姿が全く見えない。マッチ箱の懸垂支点にもいなさそうだし、コールも聞こえてこない。ヘリも飛んでいるし少し不安になっていた。稜線について携帯の電源を入れてみると、内田さんが第四尾根下部でザックを落として回収し撤退したとのメールが入っていた。

八本歯から大樺沢経由で冬の偵察をしながら下山。

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二俣にて内田隊と合流したが、ザックはビリビリで、無線機は大破したようだった。何はともあれ、物だけで済んで良かった。また二俣からは、足腰立たないおばあさんが居た為、その人らのザックを広河原山荘まで運び下山。