■コブ尾根

2019年4月20日(土)~21日(日)

形態:アルパイン

メンバー:L斉藤・馬場(記録)

タイム:

20日09:50あかんだな駐車場-10:45上高地-14:45岳沢幕営地-偵察-18:00就寝

21日02:00起床-03:20岳沢-14:00コブ-17:00天狗のコル-18:50幕営地-撤収19:20岳沢幕営地-21:00岳沢登山口-21:30小梨平

1日目:天候晴れ

標高差670m

距離4.52+偵察km

高度:上高地1506m~岳沢2170m

2日目:天候:晴れのちガス風雪のち曇り

標高差1647m

距離9.41km

高度:コブ3149m

概要: 

前夜泊をせずに朝集合は体に優しい。朝6時半に斉藤を駅でピックアップしてあかんだなし駐車場へ向かう。始発を狙わない余裕のある行動パターンだ。バスが開通したばかりで賑わう上高地に入り、河童橋を渡って岳沢への登山道をゆく。

この日の早朝に前穂南稜に向かった多田パーティのトレースをたどる。林間を登り岳沢に入ると蒼い空と白い山並みがドーンと目の前に迫り来る。西穂独標から西穂高岳、ジャンダルムも美しい。我々が明日、狙うコブも見える。何が楽しくて毎週こんなに重い荷物を背負って登るのか?そんな辛すぎる事もしばし忘れることのできる瞬間である。

あと少し、あと少しで岳沢小屋だと一歩ずつ登り、やっとのことで到着した。テント設営の受付を終えたらちょうど小屋で働かれている小池OBがいらっしゃった。最近のコブ尾根の状況を聞いた所、誰も入っていないようなので、明日はラッセルだ。テント設営後、偵察に行く。明日は夜明け前の暗い中を登っていく。明るいうちにトレースと取りつきの目星をつけておく大事な作業を終え、テントへ戻った。

夜の山ご飯はカナダで買ってきたビーフシチューのフリーズドライを持参した。ところが封を開けてみたらドックフードのようなカラカラの肉のお湯戻し食材だった。リスクヘッジで持ってきたマカロニとベーコンポテトポタージュとコンソメで味付けして美味しくなった。それにしても、英語読めない、勝手な思い込みは危険!笑

クロワッサンにハムとクリームチーズを挟んで栄養価満点!女子登山らしい夕食である。そして明日の2時起きに備えて18時就寝。

3時20分に出発してコブ沢をつめて登る。昨日のうちにつけておいた偵察トレースが暗い山道の助けとなる。雪稜が得意の斉藤はサクサクと登っていくが雪稜はスキーシール登行ばっかりやってきた馬場のペースは一向に上がらないどころか、ヒラメ筋がパンプ状態だ。

斉藤は二足歩行で馬場は四足歩行。やがて夜が明けるとかなりの急登だったことがわかる。登っても、登っても雪壁だ。

やっとニ峰につき、ボラート懸垂。馬場は知識として知っているだけだ。斉藤は訓練でしか経験がない。先行者もボラート跡もない今はやるしかない。まずは雪面を切り出し踏んで、踏んで踏みしめて固めてはみるものの、降雪後の気温が低い結束のない雪に苦戦する。

ロープの流れ、角度、高さ、細かく調整して、安全に懸垂開始出来るまでに1時間を要した。そしてまた雪壁が続く。

登攀対象であるコブに着いた。

コブの取付きはどこだろう?斉藤は目を凝らすがよくわからないと言いながらも、ここだと見極めて登ったところにちゃんと残置ハーケンが打たれている。ルートファインディングが上手いとしか言いようがない。2ピッチ目は50m目一杯ロープが出てしまった。コールが聞こえないようだ。ロープが戻ってきたり、引かれたりした後、ピタリと動かなくなった。しばらく待ち、少し前に動いたらロープが引かれたので馬場は登ることにした。コールが届かなく状況がわからないので若干の不安はあったが、やるべきことをやる、阿吽の呼吸で合わせていく。登りだしても落ちるような難しさはなかった。どうやら次の支点まであと数メートルたりなかったようで、途中にスノーバーでビレイし、ロープを手繰ってから支点までの同時登攀であった。そして支点を利用して懸垂する。

その後はひたすらまた雪壁を登る。予報通り天気は崩れ始めガスが上がってきた。あとはコブの頭を目指すだけなのに本当に遠い。

 

コブの頭についたのは吹雪の中の14時。ここからすぐに天狗のコルへ行こうにもまったく目視出来ないほど荒れ始めた。ここで活躍するのがGPSだ。もし電池が無くなったら、地図と方位でしか判断できない。一般登山道ではあるがこうなると一歩間違えば遭難となる。何度も確認訂正しながら確実に帰路を急ぐ。本来なら2時間もあれば天狗のコルに着くのだろうが3時間もかかってしまった。あとは雪崩に注意しながら天狗沢を下り、最後はシリセードで距離を稼ぎ、ヘッドランプなしでも歩ける夕暮れの18時45分に岳沢小屋幕営地についた。

小屋では小池OBが心配して待っていた。撤収を始めると黙って我々のテントを片し、早く下山を促す小池OB。本当に有難い。パッキングが完了しヘッドランプを点けて19時20分に岳沢を後にした。トレースだらけの一般道をひたすら下山する。上高地についた頃にはもうタクシーもなく、小梨平にテントを張り、予備食でお腹を満たし、予備酒で喉を潤した。翌朝、バスの始発に乗り、温泉もなし、朝食もコンビニで済ましたアルパイン温泉無し女子部の二人だった。