南岳西尾根 2020.12.29-31
メンバー L吉村、粂野、大島

2020年12月29日(火)
記録 吉村
タイム 新穂高温泉登山センター(5:55)-南沢出合(10:20)-2300m(14:00)

名鉄電車事故で運転見合わせになり、出発が1時間程遅れる。年末年始の大寒波がやってくると天気予報で言われておりどれくらい雪が積もっているかで行程が変わりそうだ。
0時半ころに新穂高温泉の駐車場に到着するが車が少なく20台も停まっていない感じだ。駐車場に10cmくらい雪が積もって残っている。5時に起床し、登山指導センターで登山届を提出する。センターの方から年末年始の悪天のことを言われ深入りすると下山が難しくなると指導を受ける。他にも西穂高西尾根に向かうチームがいた。5時55分に登山指導センターを出発。
薄っすらとトレースは残っているが入山者は少ない。南沢出合までに1人の下山者とすれ違っただけだ。

滝谷がきれいだった

南沢出合

順調に進んだが、南沢出合からはラッセルになるのでわかんを付ける。大島は元気にラッセルをする。前回11月に偵察をしたときは笹のブッシュの洗礼を浴びたが今回は笹の被害を免れる。しかし、雪が降ったばかりか柔らかく全然踏み固まらない。途中から先週末のトレースと合流するが引き返したようで消えてしまう。
12時25分に2100mコルあたりに着く。まだまだ急なラッセルが続き、14時にデルタ状岩壁がよく見える2300m台地に着く。デルタ状岩壁を超えようとするとまだまだ時間がかかりそうだったのでこの場所テントを張る。
年末年始の寒波で、いい天気が望めないので深入りしないで、ここをベースとしピストンだけにする。まだ時間があったのでデルタ状岩壁の基部までトレースを付ける。わかんを付けて登ってしてこの先はアイゼンで行きたいので15時20分にテント場に戻る。戻りは早く10分ほどで戻ってしまった。

 

まだいい天気

今回の山行で3人で写真とれるのはもうないと思って、もう1枚

時々夕日がきれいで天気が崩れるように感じない。17時、キムチ鍋を食す。気温は比較的高く暖かい。19時に消灯する。
明日はマッチ箱を超えられるといいな。

ラッセルし、テントに戻る

2020年12月30日(水)
記録 大島
タイム 2300m(7:00)-デルタ状岩壁(9:00)-2500m夏道合流点(10:40)-2300m(12:20)

夜は暖かくてなかなか寝付けなかった。0時前ごろから風が強く吹き始めていた。
朝ラーメンを食べて準備する。前日デルタ状岩壁までラッセルしたのでアイゼンをはいてスタート。風雪でトレースが薄くなっており、ところどころ踏み外す。岩壁手前に急斜面になったために吉村さんリードで1p出す。大島がラストであったため、2p目のデルタ状岩壁はリードさせてもらった。雪がかなりついているのでかき分ける必要があるが、それほど難しいところはなかった。中間支点も立木や掘り起こしたハイマツでとれたので落ち着けた。

1p目

デルタ状岩壁

2p目終了点から

岩壁を超えると再びラッセル尾根歩き。尾根が合流する地点に赤テープを巻きながら進む。雪が深いのでなかなか進まず、風も強くなってくる。2500m付近でガスと雪と風で一瞬ホワイトアウトした。上部はやや尾根が広くなるために撤退を決める。


マッチ箱まで行きたかったが、あまりのラッセルと天候の悪さにあきらめがついた。岩壁で懸垂下降。トップで降りたが、方向を間違えてもう1p懸垂することになってしまった。下山は早いもので12時過ぎには幕営地に到着。テントはほとんど雪に埋まっており、雪かきをして入った。時間が早いので、お茶や酒を飲みながら過去の合宿の話を聞いた。17時ごろ中華丼を食べ、18時過ぎには就寝した。

テントは埋まっていた

乾燥野菜で具だくさんの食事

2020年12月31日(木)
記録 粂野
タイム 5:20起床-8:00下山開始-9:00南沢出合-10:40滝谷-11:50白出沢-13:00穂高牧場―14:10新穂高

前日に下山を決めていたので、朝はゆっくり起床。前夜は夜半より風が強くなり時々テントを周期的にバタバタさせる。1日目の夜よりは冷え込みがあった。朝食をとり二回お茶をのんで支度をする。時々強い風が吹く中、テント撤収しワカンをつけてトレースの消えた尾根を下った。登り7時間かかったのに下りは一時間で南沢取り付きについた。
登山道は積雪でトレースも無い。入山者もいない様子。相変わらず締まらない雪にはまったりしながら滝谷まで意外と時間がかかった。

人気ルート?だがトレースなし

その後も珍しくトレース無い登山道を下りる。途中でテント跡があり、そこからのトレース跡を追いながら白出沢に着く。林道も積もっていて時々深い所もあった。あとは積もった雪に足を取られたり、行く時に無かった倒木を避けながら新穂高まで。下りでは人に会わなかった。
中崎山荘温泉に浸かり、白くなった道路に気をつけながら帰名する。

新穂高温泉冬期駐車場

冬山合宿感想&反省
(吉村)
南岳西尾根は夏や秋などで来ていたが、年末年始の時期は初めての入山となった。11月の偵察山行からトレーニングを積んで挑んだが、残念な結果だった。年末年始の寒波によって主稜線上で閉じ込められ下山困難になるのは避けたかった。数年前に横尾尾根から南岳に登ったとき寒さと風に苦しめられると身動きがとれないと感じた。そのため、2300mからのアタックとしたが、樹林帯を抜けても数日前に降った雪でスピードが上がらなく、早めの撤退を決めた。私自身が慎重で臆病になっていたかもしれない。
西尾根の取り付きは偵察の効果があり、赤布が残ており素直に登れた。また笹ブッシュも雪で隠れよかったが、雪が柔らかく踏んでも踏んでも固まらなく苦しかった。
2300m付近のデルタ状岩壁近くの台地のテント場はいい場所だと感じた。風の被害が受けにくく快適なテント場だ。デルタ状岩壁を超えると樹林帯を抜けるようになりテントは張れるが風の影響は大きくなる。またデルタ状岩壁をあの重いザックを背負って登ろうとするとさらに厳しくなる。
撤退時にもうすでにトレースが消えつつあり、デルタ岩壁下では完全に消えてなくなっていた。あと数時間登って引き返した場合、上部でもトレースは消えていたことだろう。
メンバーは早くから決まったので、新人の大島も11月の早月尾根トレーニングから一緒に山に入りいろいろと練習ができてチーム力が高まった。また食料担当をお願いして練習を積み重ね合宿ではしっかりとおいしい食事が食べることができテント生活は楽しかった。
今度はもう少し天気の安定した時期に1泊2日くらいでサックと行ってみたい。

(粂野)
入山前から天候不良がわかっていたが、思うほど風や冷え込みは強いように思わなかった。ただ雪が多く、しかも締まっていないのでラッセルがきつくて思ったより詰められなかった。去年もそうだったが年末まで雪が降らず、根雪も無いままのドカ雪なので足元が悪くて始末が悪い。上りは崩れる雪が信用出来ず、特に下りは場面によっては神経を使う場面もあった。
食事は大島君の研究の成果で美味しく量も良かったと思います。

(大島)
夏山合宿がなかったため初めての合宿だった。これまでに冬山はある程度行っていたが、4日という日程を北アルプスで過ごすということで非常に緊張していた。自分にできることは歩きだけだと、必死にラッセルした。
計画通りいかなかったので残念だったが、先輩と山に行くことで多くのことを学んだ。赤テープをつける位置や、ロープやアイゼンをつけるタイミング、ルートどりや補給のタイミング、テント生活の工夫など実地でしかわからないことが勉強になった。エッセンの要領もわからない自分に、いろいろなことを教えてくださった先輩に感謝したい。
今回の合宿で、山への意欲が強まった。また、来年の冬山合宿に向けて実力をつけていきたい。