冬山合宿 槍ヶ岳中崎尾根

2019年12月31日(火)~2020年1月2日(木)

形態:ピストン

メンバー:L武田・SL粂野・丹羽だ・丹羽ま・金原(気象・会計)・近藤(装備)・小川よ

タイム:

12月31日(火) 雨のち曇り

5:20新穂高温泉-6:30穂高平-7:30白出沢9:30滝谷-11:00槍平-15:00テント(2300地点)

1月1日(水) 晴れのち曇りのち雪

3:15テント-6:35千丈乗越-8:45槍ヶ岳山荘-9:35槍ヶ岳山頂-14:20テント

1月2日(木)曇り

7:00テント-9:00槍平-10:00滝谷-11:40白出沢-13:50新穂高温泉

 

概要: 30日夜、川島PAで広島組の丹羽だ・丹羽まと合流。予報では寒波が入り、翌日は荒れるとのことだったが、道中は暖かく、少し雨が降っていた。新穂高温泉の駐車場で仮眠。暑くて少し寝苦しかった。

31日(記録:武田)4:00起床。荒天予報のためか、駐車場はガラガラ。登山センターでゆっくり準備し、5:00出発する。林道に雪は少なく、水が流れていた。

気温3℃くらい?あたたかい。

穂高平で休憩しているとみぞれのような雨が降り出す。寒波はどこいった?

まだ雪は少ない

槍平で幕営の予定にしていたがまだ時間が早い。2時間もあれば稜線まで上がれるだろう。今夜からの降雪が心配だ。雪が少ないうちに上にあがりたいことから、そのまま稜線に上がることにする。

ここから雪が膝くらいになる。ルンゼに薄くトレースが残っていたため、ルンゼを少し歩き尾根に取付いた。踏んでも踏んでも雪が固まらず、足をあげてはずるずる落ちる。冬トレ期間中ラッセルトレーニングを入れられなかったのが悔やまれる下手さ。交代しながら行くつもりだったが、丹羽だ・近藤・金原がさすがの体力でずんずん進んでいく。

トレース完全無視したら大はまり

トラバース手前で休憩

稜線に乗ったらすでに時間は14:00。アタック日の行動時間を短くしたいので、もう少し進んでおきたいところだったが、時間切れ。秋に偵察しておいた地点よりも少し手前の林の中に巨大な8テンを張れる場所を見つけ、そこに設営する。あとから来た2人パーティはもう少し先に進むとのことだった。

槍が見える!

テントに潜り込み、水を作り始める。7人の大所帯なので水作りに時間がかかる。翌日の行動水と夜・朝の食事用に各自2Lほど。SotoとMSRを持ってきたが、MSRの調子が悪く、効率が悪いし、大きなテントは暖まらない。設営時に体が冷えたためか粂野の震えが止まらず、低体温かと全員心配する。福島さんに教えてもらっていた通り、熱いお茶と食事と湯たんぽで体をあたためてもらった。

翌日の行動について、相談。この地点からだと翌日アタックするには多くみつもって14時間ほどかかる。体力に大きな差があるパーティなので、非常に悩ましい。翌朝には雪も増えているだろう。翌日アタックするべきか、もう一日進むべきか大いに悩む。予報では翌日の天気はなんとかなりそう。ただし、自分を含めペースが遅いメンバーがいるなかで、翌日の登頂を失敗すると後がない。「ぼくと大輔さんと金原さんで先頭をいけば行ける!」と近藤。槍ヶ岳11:00登頂をリミットとし、翌日アタックに決定。20:30就寝。寒さと緊張であまり眠れなかった。

 

1日(記録:武田):1:30起床。みんな調子よさそう。空は晴れていて星がよく見えた。アイゼンとワカンをつけて3:00出発。予定通り体力のあるメンバーに大半先を進んでもらう。

6:00頃千丈乗越直下。ワカンをはずし、デポする。千丈乗越の大岩を越える箇所はロープを出す必要があるかと警戒していた場所だった。夜が明けてから通過するつもりだったが、丹羽だが先頭を行き、岩沿いのルートをするする登る。まだ暗いなかロープをださず、全員そのまま登った。登り切ったところで休憩。ちょうど日が昇り周りの山々がきれいだ。

沢側にはよらず、岩を右からまきながらリッジ上を進んだ。アイゼンがしっかり効くので安定して歩くことができる。

2020年初日の出

槍ヶ岳山荘手前は爆風。下からの風に押されて進む。風速25mくらいあるだろうか、しっかりしているつもりでも2・3歩ふらつきながら、大槍直下へ。

 

風強い!

大槍直下

ここは風がなく、穏やか。小川よの到着を待ち、全員そろったところで念のためロープをもって登り始める。雪と氷のついた槍の穂先を登るのも少し心配していたが、全員特に問題なくあがっていった。

最後尾の自分が頂上に着いたときには後ろからガスがあがってきており、みていた丹羽だは「すぐ降りよう」と思ったそう。全員で槍ヶ岳に登れたことが嬉しかったが、感動に浸る時間もなくすぐ下山開始。(そんななかでも丹羽まがしっかり集合写真を撮ってくれた)。

後ろからガスが…。

ものすごい風。穂先の下りで風にあおられて体が持ち上がった。早いところ爆風のポイントを抜けたい。

西鎌尾根に入ると風はだいぶ治まったが、周りは真っ白。これは大変、急いで高度を下げる。途中、これから登っていく人とすれ違ったが、大丈夫かな。下山が苦手な自分はみんなについていくのが必死。途中膝をねじってしまいぞっとしたが、落ち着かせれば歩ける。

千丈乗越の岩場はフィックスして1回懸垂。かなり視界が悪いが、進むべき稜線は見える。飛騨沢から登ってきた2人パーティとすれ違い少し話をする。(この時気づかなかったが、愛知山岳連盟のNさんだった)。丹羽だが最後尾でロープをまとめ降りてきた。ワカンデポ地点で集合。休憩してワカンを付ける。

先ほどすれ違ったNさんも降りてきた。ここでようやくだれか気づく。山の恰好をしているとわからないなぁ、申し訳ない。ここでテントを張り、翌日登頂することにしたそうだ。

「いま中崎尾根、うん、登った」と丹羽だはなんか電話で話している。たぶん下山受けをしてくれている坂口氏だ。スマホは使い物にならないのに、ガラホは強い。樹林帯も近くなったきたし、予定していたよりも早い。どんなに時間がかかっても16:00テン場到着はできるだろう。だいぶほっとした。

14:20テン場到着。MSRの調子も戻り、一日短縮できたので燃料も食料もたっぷりある。気前よく火を使い、またまた大量の水作り。前日と比べてあったかい。食料は大量に余った。食べられるものは食べちゃえ!金原はせっかく大きなテントなのに上手にコンパクトになっていた。翌日は下山だけなのでゆっくりしてもよかったが、どうせ起きてしまうだろうと5:00起床として就寝。

 

2日(記録:粂野):4:30起床。前日の雪がトレースを消している。夜は風もなく、しっかり眠れた。各自ゆっくり食事を取り、お茶もしっかり取る。まだ暗いのでのんびりパッキングする。テントを撤収してワカンを着けて7:00下山開始する。

トレースはうっすら

ふんわり積もった雪をラッセルしながら槍平への下山道へ。雪の状態でトラバース箇所が心配だったが、思うほど影響なく下り始める。急な斜面を時々、後ろ向きになりながら、また敢えてトレースを外して雪の中に突っ込んだり、滑ったり各自それぞれ楽しむ、最後は出来るだけ沢に降りずに尾根を使い、9:00槍平着。前日迄の天候不順のせいか誰も居なく、空のテントが1張だけだった。

槍平

滝谷

途中、何名か入山者とすれ違いながら10:00滝谷、11:40白出沢、積もった雪のおかげで林道が歩き安く13:50に中崎山荘のお風呂に着く。ゆっくり温泉に浸かって食事し、このあと観光する丹羽夫妻と別れて名古屋に帰った。

入山時はかなり天候が心配であったが、ルーファイ、ラッセル、テント生活全般、全てが各人それぞれの長所がはまり、チームワークが発揮された冬合宿であった。