メンバー:坂口・内田・田中・粂野・武田・近藤・濱田・太田・福島(記録)・馬場(5日のみ参加) / 岳連スタッフ講師として参加:有富・多田

毎年御在所で2日間開催される岳連救助技術講習会に参加する。我々は岩稜登攀が主たる山行であるため以下のメニューでの講習となり、それとは別に内田、濱田、福島は上級指導員検定を今年受けるため、別メニューでのトレーニングとなる。講習会が始まる前に、早速当会現役代表を中心に、参加メンバーで結びの復習が始まった。

   

1.医療講習
2. チームレスキュー
3.アンカーの重要性
4.自己脱出
5.懸垂下降中のコントロール、途中停止、仮固定
6. 介助懸垂
7.引き上げ
8.シミュレーション

5日9時~12時まで山岳医療講習。国際山岳医の三浦医師・国際山岳看護師の浦川看護師・同じく国際山岳看護師の自分が担当。まずは捻挫のテーピングと足の解剖生理。

その後山岳事故の際、1登山者として出来ることとして、事故発生時の状況評価、脈や呼吸の測り方などを学び、実際足の骨の模型による三浦医師の講義や実際CPRの人形を使った自分担当の心肺蘇生の実践、浦川看護師のシナリオトレーニングをグループごとに分かれて行う。

       

その後昼食休憩をはさみ、岩場に移動、いよいよレスキュー講習に入る。今回の指導員は当会でシステムの知識は当然のことながら群を抜いている上級指導員資格を持つ多田と永田指導員だった。

1日目はロープワークや救助に使う結び・支点構築・セカンドの脱出・登り返しを行う。狭い岩場でロープの張れる場所も指導員も限られているため順番待ちの時間が長い。ピーカンの日、岩場に行きたいのを我慢して来たのだから本気でやりたいと、当会現役代表の坂口さんが自己脱出の練習を待ち時間に立ち木を利用してやっているのを見て嬉しくなった。

  

上級指導員検定メンバーはもうお馴染みの高木指導員・磯村指導員による実技講習。セカンド脱出後、要救助者をカラビナターンを使い懸垂ロープに荷重を移し、その後実際ナイフを使ってロープを切断し介助懸垂システムで要救助者を下ろす一連の動作訓練を一人ずつやった。実際ロープを切断し、岩場で宙吊り状態での実戦さながらの講習で、とても勉強になった。

            

1日目の講習会メニューを無事終えて17時ごろ北谷小屋に帰り各自夕食。その後宿泊組の講習メンバーは北谷小屋で宴会。普段あまり話さない他会の方々と情報交換をして楽しかった。自分は連日の睡眠不足で眠かったため21時にテントで就寝するが、北谷小屋で宿泊したメンバーは23時過ぎまで楽しんでいたようだ。

6日は8時半に昨日と同じ岩場に集合し、昨日と同じく当会の多田と永田指導員に浦川指導員も加わり、引き上げシステムと介助懸垂のレスキュートレーニングを交代で行う。やはり待ち時間が発生するため、空いている時間は皆で教え合った。

      

上級指導員検定メンバーの指導員は高木指導員と木田指導員。カラビナターンを使った要救助者と救助者のトラバースや引き下ろし・青木ヒッチとガルダ―ヒッチを使ったカウンターウェイトでのライジングシステム・登り返し・実際山岳救助の現場でも使われている、木を利用した複数人によるグリップビレイでのスピーディーな懸垂の確保を行った。次回検定項目のため、内田、濱田、福島もトレーニングに熱が入る。ライジングシステムでは自分は体重差があるため絶対的に不利だと思っていたが、高木指導員や木田指導員が自重を最大限利用できるコツを熱心に教えてくれて、要救助者との体重差が13㌔でも引き上げることが出来た時、嬉しくて思わず歓声を上げた。

  

この講習で、今まで知らなかった知識を講師の先生や指導員の方々に教えていただき、当会一同感謝しています。この講習で教えていただいた事を今後も忘れないよう、日々練習が必要だと思う。また、今回学んだことを参加できなかったメンバーにも広げていけたらと思う。

また、今回医療講習が3時間あったが、山で何かあった時、自分の仲間の状態を的確に判断し、山で出来る損傷部の固定や観察を行い、セルフレスキュー出来る状態なら搬送していくという実際の山岳遭難の流れの中で、山岳医療技術と救助システム技術は切っても切れないものだと自分は思っている。当会でこの一連の技術を習得し、今後山岳事故防止に努めたい。

 講習会で使う荷物を北谷小屋まで上げてくれた当会メンバー(^^)