1997年 カナダ夏山合宿
牧野 勝昭
「名古屋山岳会1997年夏山合宿カナダ隊」と銘うって加藤幸彦OBが永住しているカナダのロッキー山脈で行うことになった。
期間:1997年8月8日~20日
メンバー:CL・牧野勝昭、SL・中西勝巳、小川正育、黒田 実、下地浩子、加藤幸彦(アドバイザー)、×加藤美幸
8月11日:晴れ アサバスカ峰(3491m)ノーマルルート
メンバー:L・牧野、黒田、加藤幸彦
タイム:キャンプ場BC(5.00)-取付(5.20)-氷河末端(7.00)-シルバーホーンルート分岐(8.00)-アサバスカ山頂(10.40)-取付(14.10)
全員でアサバスカに登ることにしてドンちゃんの4WDに乗ってBCから20分で駐車場。
そこから尾根筋に上がった。しっかりとした踏み跡がついた尾根道をたどり急傾斜のガラバを越え氷河末端部の急傾斜を越え、氷化した部分を抜けると一面の雪面。
はっきりとしたトレールは左前方に進んだあと直上しシルバーホ―ンを右から巻いていた。
分岐点にて中西、小川と別れ右斜め上のコルに出る。
コルで左に折れてシルバーホーンの頂きを越え、気持ちの良い雪稜をたどると頂上だった。
下りはシルバーホーンで中西、小川と合流14時すぎ取付き点に着いた。(黒田)
8月11日:晴れ アサバスカ峰(3491m)シルバーホーンルート
メンバー:L.中西、小川正
タイム:取付(5.20)-スノーコル(8.30)-シルバーホーン山頂(11.30)-アサバスカ山頂(11.50)-取付(14.10)
8.30スノーコルから登攀開始、出だしの1ピッチは傾斜もそれほど強くない堅雪を快適なダブルアックスで、少し増した次のピッチも両刀使いで切り抜けると3ピッチ目は少し傾斜が落ちた。
登るとシルバーホーンの頂きまでコンテニュアスで歩ける斜面だった。山頂から下りて来た牧野パーティーと会う。
明日シルバーホーンをアタックするというカナダの4人と情報交換してから、20分でアサバスカ頂上。
下山ルートは登ってきた北氷河をそのまま下る。
インフォメーションセンターに寄り、今日の登山報告と明日のルートを申請してBCに戻った。(中西)
国道附近から、アスバスカ峰(左)とシルバーホーン。アンドロメダ峰(右)
8月13日:曇り時々晴れ アサバスカ峰(3491m)ノースリッジ
メンバー:L・牧野、黒田
タイム:キャンプ場BC(3.50)-駐車場(4.10)-氷河末端(5.40)-ノースリッジ取付(9.30)-コル(17.00)-アサバスカ頂上(19.30)-駐車場22.30)
氷河末端から氷河を横断、遠くからニースリッジを見て、取付き点と目ぼしをつけていた雪の詰まったガリーの下に着き登攀開始。
コルまで1時間ほどと楽観していたが、ここから取り付いたことが悪戦苦闘のドラマの序曲だった。
結果としてコルまで7時間半も要したのだ。
ガリーの急斜面を牧野トップで登り、ツルベで黒田が岩場を2ピッチ登りリッジに出た。
リッジは岩が脆く、又傾斜も強いので回り込んではリッジ上に出る登攀を黒田がトップで繰り返し最後に雪の斜面を数ピッチでノースリッジの雪稜に出た。
コルの少し手前だった。取り付きから25ピッチを数え、17時近かった。
BCのドンちゃんと交信。「時間も遅いので上半部を断念、コルから氷河を下る」旨伝えると、ドンちゃんは「未知の氷河へ、かつ夕刻に下るのは登るより数倍の危険性が有り、遭難の確率も高い。
最終判断は君に任すが俺は頂上経由で帰るべきと思う」とアドバイスがあった。100mでコルに着き下をのぞくと下り始めは傾斜が緩いが途中からはブルーアイスの急傾斜で氷河に続いている。
頂上経由で帰る旨交信、雪稜を詰め頂上直下の岩壁を4ピッチで抜け頂上に続く雪稜を200mで山頂に立った。
明るさの残るノーマルルートを下山した。 (牧野)
8月13日:曇り時々晴れ アンドロメダ峰(3450m)スカイラダールート
メンバー:L.・中西、小川正
タイム:駐車場(4.10)-アンドロメダ氷河スカイラダールート取付(8.00-8.30)-アンドロメダ峰山頂(16.10)-氷河コル(18.00-19.40)-ノーマルルート合流点(20.55)-駐車場(23.30)
氷河末端から山側より2番目のセラックに取り付き氷原上に出て、右稜線よりに右上し、稜線末端の横に走るクレバス帯についた。
中央部が1ヵ所のみ埋まっていたので、ここから取り付くことにした。
小川トップでブリッジをそっと突破、ツルベで60-70度の氷化した壁を10ピッチ、傾斜の落ちた岩屑のリッジ上にてスタカット終了。
雪壁をコンテニュアスにて300m,頂上雪田100mで山頂だった。
アンドロメダとの間のコルまではもろい岩稜の下降だった。
コルから下りに入ったが傾斜が強く前向きでダブルアックスでくだる。
しかし2ピッチでコルに登り返す決心をした。
コルに戻り、岩稜、雪壁のアップダウンを繰り返しシルバーホーンの黒い岩肌に辿りついた。
手前からノーマルルートのトラバースに入り北氷河に出た時にはホットした。
真っ暗な駐車場にはドンチャンと牧野チーフが迎えにきてくれていた。 (小川正)
[会報100号(2009年4月)より]